父方の親戚のおじさんが亡くなって、 その家で今、遺産相続のいざこざがおこっているらしいです。
相続税に関してとか、土地の名義とかでもめてるらしく それにおじさんや、父方の祖父母がかかわっているらしいです。 んで、何でもその親戚さんから「500万払え」とか言われていて、 我が家の家計には関係ないことといっても、 父にとっては自分の父母のピンチなわけで、 当たり前ですがいろいろ怒ってたりします。
「普通払わなくていいだろ、そんな金っておやじに言ったよ。 大体なんだ、ふざけんな!問題を片付けるために金を払ったとしても、 あの家とは俺達だって親戚の付き合いは切ってやる」 「でも、片付けるためには普通払わなきゃだめでしょう。 私だって向こうの立場だったら払えよと思うよ。」
父と母がこんな話を夕食時に居間のテーブルで話していた中、 もちろん私と妹もそのテーブルで夕食を食べていた。 知らんふりしてTVを見ていました。
これが世間だと思って聞いておかなきゃと思って あえてその場から立ち去ることはしませんでしたが、 やっぱり聞いていて気持ちがよいものではありません。 しょせん、親戚でも他人は他人。 心と金は別問題。 日本は血縁というものを重視すると言うけれど、それが何だという感じです。 だって、血がつながっていたって絆なんてものはないじゃないか。 そこに金が立ち入ったとたん、心の入る余地はない。 でも確かに、お金の問題は別格ですよね。 お金がなきゃ何もできない世の中だから。
これが現実。 よくよく話やドラマで聞いてはいたけれど、 でも悲しいもんですね。 兄弟という関係すら、紙幣ひとつで他人に変わってしまうる。 今ごろ天にいるそのおじさんは泣いてる。絶対。
父と母の話はまだまだ終りそうにない。 父さんは怒りをあらわに口調を荒げている。 それをなだめてる母さん。 私は依然として私と同じようにTVを見つづけている妹にぼそっと言った。
「ねぇ、TVの音量上げてよ」 「リモコンおねえちゃんの方にあるじゃん」
私達は目をあわせると、両親にみえないようにひそかに苦笑いをした。
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