---□□草原で独り言□□---

2003年10月26日(日) 発表会

昨日、私の教わっている音楽教室で発表会が開かれた。
私がこの教室に移ってきたのはつい一年前なので、
今回この発表会に出たのは初めてだった。
私はもちろん歌が主なんだけれど、
大学受験ではピアノも弾くので、緊張なれってことでピアノも弾いた。

たくさんいる生徒さんの中に、歌を歌う人は私を含めて三人だった。
一人は同じ教室で名前は知っているけれど、顔は知らない大学生の人。
もう一人は同い年の高校生の、名も顔も知らない人だった。
この発表会は毎年一回、
個々に教室を持つ6人の先生方が合同で行われているので、
ただでさえ同じ教室の人の名もよく知らないのに、
ましてや他の先生の教室の人の名前なんて知りようがありませんから。
でも、歌の三人は同じ練習室でピアノと歌を練習していたので、
お知り合いになれたのでした♪
しかもちょっと仲良しになれました♪

練習室には私が一番に入っていて、
先に練習をしていたところに二人が部屋に入ってきました。
私は「私の大好きなお父さん」と「歌に生き、恋に生き」の
二曲をピアノ伴奏と合わせの練習をしていました。
なんだか同じように歌をやっている人に、聴かれるっていうのは
何だかものすごい緊張で「うわーうわぁーっ」って具合に心で叫んでました。
(ちなみに、しばらく後にピアノの練習をしていて聴かれていたときは
「うわぁ―――!!!!!!!!!!!」っていうものすごい焦り(笑))
同様に、私も二人の歌を聴いたのですが、
当たり前だけど、歌ってやっぱり人によって個性があると改めて思いました。
ほら、オペラとかってまるで皆同じ様に聴こえたりしませんか、
でもやっぱり違うんですよ、人によってみんな違う歌をうたってる。
それはきっと、その曲をどんな風に感じてるかとか、
声の違いとか、歌い方の違いで、
上手いとか下手とかじゃなくて、その人にしか歌えない歌。

なんだか、練習したり、私のピアノの一つ前に発表した
高校生の子の歌を聴いてたりしたら「はやく私も歌いたい〜」と思った。

なーんて、その次にピアノの発表が待ってたわけで。
私は、歌は最後から二番目だったので、当たり前にピアノのほうが前なんですよ。
ピアノは、そりゃあもう心の中では大変な大騒ぎでした。
頭が真っ白っていう緊張ではないのでよかったんですが、音がはずれるはずれる。
自信のなさから来る失敗なんだろうな・・・きっと。

ピアノは白いブラウスに黒いロングスカートだったのですが、
歌は違う衣装に着替えだったので、
ピアノが終ったらすぐさま控え室に行きました。
袋から出したのは、
ちょっと豪華な白い服に、みどり色の綺麗なスカートなドレス。
先生がわざわざ
「どうせなら可愛い服着せたいじゃない〜、あなたに合うのをさがしたのよ〜」
っていって借りてきてくれたんですよ。
しかも、「首元も何だかさびしいわねぇ」って言って、
ネックレスまで服とあわせて貸してくださいました。
『こんな服で歌うの初めてだ〜っ』
ってちょっとドキドキしちゃいました(笑
伴奏者の方は、先生が手配してくださった、他教室の先生だったのですが
着替えが済んだので「緊張しないように〜」なんていって少し会話をしてから、
会場に戻りました。

もうすっかり発表会は大詰めを迎えていて、
私を含めて、残りの演目は4まで進んでました。
もうここまで来てしまえば、私の本番もあったいう間にやってきた。

名前を呼ばれて、照明の集まるステージに上がる。



そこはもう別世界だった。

伴奏者の方に、『お願いします』と目配せで合図をすると、
かろやかにメロディがながれ始めて、
そして、やけに照明の光が心地よくて、
ゆったりと胸を張って、少し上をみすえる。

歌い始めたら、ホールはとても響きがよくて、
私の声でホールをいっぱいにしてやるぞなんて一瞬よぎるほど(笑
緊張みたな焦りはまるでなくて、
なんだか・・・静まった海のような広くて穏やかな気持ち。
高い声も、低い声も気持ちよく響くものだから、
もう楽しみと喜びと・・・とにかくなんだか至福でした。
歌を歌ってる心になれました。
歌に込められた願いを心に染み込ませるというか、心を解放するというか・・・。
そして、なおかつ歌を聴いてくれてる人がいること。

歌い終わっておじぎをして、一番最前列をみると、
伴奏者の方の子供の、いつも練習の時にきていた、
まだ小学校一年生のちいさい女の子が、
手をいっぱいに広げて一生懸命拍手をしながら視線をおくってくれてた。
なんだか嬉しくなって、
私は思わずその子に『ありがとね』とにっこり微笑んだ。

なんなのだろう、この気持ち。

ステージは夢の世界です。魔法です(笑
わぁ、気付けばこんなに『(笑)』が!
まぁ、聴いてくれている人っていっても
自分のお子さんの発表を聴きにきた親族の方々なんですけどね(^-^;

全ての演目が終って、写真撮影や、片付けのときに、
色々な人が「よかったよ〜」といってくださいました。

こんな風にいってると、
「こいつ、人に誉められたって感じで、
自分のこと歌うまいとか思ってんじゃないの」って私のこと思いませんか。

でも、違うんです。
人に「誉められたから嬉しいんじゃないんです」。

少しでも歌で心を解放できたようで嬉しいんです。
少しでも人に歌で心を伝えられたような気がして嬉しいんです。
少しでも人から認めてもらえたような気がして嬉しいんです。

私にとって、歌は私の心の木みたいで、
その喜びを吸って、どんどん立派に成長していく。
よい土地で、色んな天気を乗り越えて、育っていく。


 < 過去  INDEX  未来 >


S.Soraka [MAIL]