---□□草原で独り言□□---

2004年11月17日(水) 大人な大学生

私が大学で弟子入りしている先生は、
とても強い先生だ。

なにが強いかといえば、「心」が。
しかし、威張るのではない、礼儀を怠る事なく、
人々や社会にたいして気遣いも忘れない。
先生からは、どことなく苦労してきたのだろうという感じと
そしてエネルギーを感じる。
いくつになってもパワフルで元気なのは、
きっとその苦労を乗り越えて来た強さからくる、
揺るぎない力なんだろう。


今日、先生とお話している時に、
最近の大学生は高校生みたいな大学生が多くて、
大人な大学生あまりいない。
自分の意見だけわーっと言っておいて、対人関係ができない。
学校を出たら、PTAとか会社とか全部そういう世界なのにね。
ということを聞いた。
その言葉を聞いて、私は自分がとても情けなくなって、
あいづちで『そうですね』なんてとても言えなかった。
そんな言い方はまるで、
自分のことを棚にあげて、偉そうに周りを見ているようだから。

なんて言葉を返そうかすごく迷って、困って、
私はなんとか口を開いた。
「そうですね…私も人のことは言え無いですけど(^-^;」
と言った。
結局、頭の回転が悪くて、そうですねって言ってしまったんですけど。

先生は言葉に迷ったような顔をした。
「あなたは…大人ー…なんじゃない?苦労してるし」
『失敗した!!!』
と思った。もうちょっと言い様があったなぁと思う。
今から冷静に考えれば
「あ…確かに私にもそういう面ってあります。大人になるのも難しいですね」とか、言えば良かった。

うかつにも「私も人のことは言えないですけど」なんて
そんな風に言われたら、例えお世辞でも
誰だってそれを否定してあげるような言葉を発する決まっている。
きっとだから先生も困ったんだろうと思う。
どこの世の中に生徒にお世辞を言わなければならない先生なんているんだ!
そんな気はなかったし、焦っていただけだけれど
生徒がそんな誉め言葉を誘導するようなことを言うなんて、
気遣いが足りない証拠だ。


それに先生は「苦労してるし」と付け足すようにおっしゃった。
それを言うなら…私はやっぱり「大人」じゃない。
私は苦労しているのだろうか?
努力はしているし、悩む事もたくさんあるけど、
うまく歌えなくて苦労とかはとてもあるけど。

ねぇ、そういえば、私はほかに「苦労」ってしている?
いいアパートに住まわせてもらっていて、
私の夢のために、音大に行かせてもらっていて、
みすぼらしいのは可哀想だからと、服だって買ってもらえる。
うちは決して裕福というわけではないのに。
もちろん私だってそれはわかっているから、節約はするけれど。
そしてそんな私の性格はお見通しで、
食事だけはしっかりとりなさいと、体には気をつけなさいと
畑で育てた野菜や、田んぼで収穫したお米を送ってくれる。
家族も祖父母も、私を応援してくれている。
そして、いい友達に出会えて、いい先生に出会えて。
充実した日を過ごしている。

これだけの幸せにつつまれて、
どこに苦労があるというのだろう。
もしかして私は苦労しているようなふりをしているだけだったのか?
私は何かを苦労しているだろか?
改めて、考える。


 < 過去  INDEX  未来 >


S.Soraka [MAIL]