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見渡すかぎりの黄金砂漠
 大地はさらさらした黄色の砂
 嵐にまきあげられたせいで
 空もそれだった
 太陽もそれにさえぎられ
 光も黄金だった
 視界にうつるのは
 すべて黄金の砂色だった
 
 しかし
 そこに一本のレール
 後ろにも前にも
 果てしなくのびて
 汽笛をあげて
 砂の世界をすすんでゆく
 私のとなりを走ってゆく
 
 私は歩いていた
 レールのそばを
 なにか愛しいものを担いでいた
 ふと 列車の音
 ふりかえればこちらに向う車輪のこだま
 私は砂の土手に登り
 過ぎ去るそれを眺めた
 それは私の目指すほうに向っていった
 
 私はまた歩きだした
 なにか愛しいものを
 もう一度しっかり担ぎなおし
 レールをたどる
 すると肩の上から
 それが何かをつぶやいた
 「―――――」
 私は答える
 「私は不様にでも不恰好にでも、
 着くようになんとか最後までやるとするよ」
 そうして なにか愛しいものに水を差し出した
 
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