こわい。本当にこわい。
私は自分の理想になりたいだけであって。 優しくなんかない。 言葉に気をつけるのも美しい人でありたいだけで、 誰かのためなんかじゃない。
私は自分の理想になりたいだけであって。 しっかりなんてしていない。 たくさんそれらしく語るのは、 ただ言い訳が人より少しうまいだけで。 けれど、たぶん。 あなたは騙せない。
私はいつだって自分中心だ。 自分の理想を追い求めているだけの、猪突猛進だ。 まわりの景色なんて見えてやしない。 余裕のない、小さな人間。 私が美しい人間でなくなるのを恐れているだけの。
ああ、知っている。 私のなかにある、そう願う私は、 決して美しくなんかない。 本当はなに色だ。 私は何色だ。
わたしの周りにいる、美しい人たち。 あの人たちの心は何色だ。 彼らの言葉は美しい。 彼らの中にある心もまた、やはり美しいのか。
私の言葉は美しくても、 だがしかし、私の心は何色だ。
脳で制御しているだけだ。 私は私の言葉を、 「なりたい理想の私」で紡いでいるんだ。
私の正直はどこにある。 ぐちゃぐちゃだ。 たくさん、たくさん浮かんでる。 言葉がたくさん浮かんでくる。
一つの問いに、たくさん答えが用意できる。 いくらでも、作文のように、 正論も、誤りも、冗談も、いくらでも用意できる。
そして、 そのなかのどれが私の正直か、わからなくなることがたまにある。
それをあなたがいい当てた。 河原から、ひとつぶ、石を拾うように。
見透かされたとき、恐怖を感じた。 ばれてしまう。 私は美しくなどないということが、ばれてしまう。
見透かされそうで、こわい。 そして、幻滅されるのは、もっと悲しい。
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