私は自分が、つまらない人間だと悲しくなることがよくある。 何も言えない、そういう臆病者だと思う。
私は鈍感だ。 たぶん、常識がない。 それは人とたくさん話すということをしてこなかったから。 「どのような言葉で、人が傷つくのかわからない」… いや、そうじゃない。 似てるけど、違う。ぜんぜん、ちがう。 「どのような言葉でなら、人が傷つかないかわからない」 どの言葉でも相手が傷ついてしまう気がするから、 なにも言えない。
私はどんな言葉でも、色々な方面から考えてしまう。 どんな言葉だって、見る角度を変えたなら、 善にだって悪にだってなりえる気がする。 常識があったなら、 「こういう場合はこうだな」ってわかるのに。 一つの言葉なのに、たくさんの意味の可能性を考えてしまう。 そのくせ、知識がないから、隠れた意味は知らなかったりする。
わたしって本当につまらないヤツだ。 自分で自分の言葉すら口にできないなんて。 いつも相手の言葉を疑って、あわてていて、 そのくせ気づけなくて、気の利いたこともいえなくて。 自分で自分が滑稽に思えた。
私は私のつまらない部分ばかり見える。 嫌なことばかり、後悔して、嘆いている。
でも、今日。 友達とカフェでコーヒー飲みながら話していて。 少し嬉しくなったのは。 その友達が、またその友達に私の話をしたらしくて、 すごく興味を持ってくれたみたいで。 どんな話をしたのかは聞いてないけれど、 「そうかぁ私にも興味を持ってもらえるような、 面白いとこがあるのかぁ」って思って。
わたしはわたしの中でしか存在しないように思えてしまうけれど、 知らないところで誰かが私の話をしている。 いま友達が話して笑っているかもしれないし、 いま家族が話して心配しているかもしれない。
たったそれだけのことなのに。 想像したら、とてもなんだか、嬉しくて。 私が私いがいのところで、存在していること。 地に足が着く感じがする。
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