お昼を買いに出て、木枯らしが街路樹を裸にしていることに気づいた。 日差しは暖かなのに、朝夕の寒さと乾いた風が葉を散らす。それでも、まだしぶとく残っている葉。乾いていて、ザワザワっとふきつけられる音。
妙な感慨を覚えます。
こんばんは。寒い最中、風邪などひいていませんか。 あまつばめです。
あなたは、どんなものが怖いですか?
私は臆病だから、怖いものでいっぱいです。
高く空に突き抜けるようなビルを見上げると、背筋がゾクゾクしてしゃがみこんでしまいそうになる。 小高い山の上、水平線の彼方を眺めると、誰もいないところに取り残された気持ちで淋しくなる。 大勢の人たちが階段を駆け上がるざわめきに、いっそ振り返り逃げ出したくなる。
普通の生活をすること、怖いです。
電車やバスなどに乗れないほどではないのですが、乗り物全般は閉じ込められた空間で、圧迫感が捨てきれない。 それでも、普通の生活を捨てきれず、毎日、おびえて乗っています。 別のことをして怖さを忘れようと、一包みのガムを口いっぱいにいれて噛みつづけたり、本を読むことで他のことを考えないようにしたり。 逃げつづけています。
今日は、気持ちが晴れていて余裕があり、周りの声を聞くことができました。 帰りのバスで、小学生の男の子と母親が座っていました。 近くの椅子に座って、携帯ゲームのスイッチを入れる。 すると、男の子が 「ねえ、お母さん。大人の人がゲームボーイをやってるよ」 と、声を潜めながら母親に話しかけていました。 見回さなくても予想がつきます。私のことでしょう。席も近く、中途半端に潜めた声など、丸聞こえです。 私は呟きました。
「坊や。大人だってね、ゲームやっていけない理由なんかないんだよ」
もちろん、聞こえるように。
母親が慌てて子供と話をしました。さすがに聞こえません。どんな話をしたのでしょう。 バスを降りるとき、急かしたてるように降りていった姿を見ると、私を危ない人と認識したのでしょうか?
否定はしませんよ。 いい大人が、公共機関の中でゲームをやっていること、お世辞にもかっこいいとは思っていません。
「怖さをごまかすために、色々奇妙なことをしています」 そんな看板を背負っているわけじゃない。言いふらしているわけじゃないから、立派なキチガイさんに見られているかもしれません。
でもね、 そんな風に見ている
目が、 囁きが、 態度が、
私は怖い。どうしようもなく。
ガム、買っておこう。 なんとなく、ため息。
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