心の奥底。記憶の破片。意味を持たないカタチ。 夢は現実のカケラです。
枕もとに筆記具を置いているあまつばめです。
あなたはどんな夢を見ますか。 私は奇妙な夢ばかりを見ます。 色や音、においまでがハッキリしている現実のような夢。 ほっておくとすぐに忘れてしまうので、憶えているかぎりをつづり書き、少しでも形に残そうとしています。 ここのところみた夢、奇妙なものはこんなのです。
<2年3組〇〇君>
夕方の校舎。 紅に染まった廊下をテクテク歩いている私。 小学校。 ここは小学校の校舎だ。 昔、通っていた小学校。 白いモルタルの壁。赤茶色の床。教室と廊下を隔てるスリガラスの窓。 懐かしい。 でも、なんで、こんなトコを歩いているのだろう。 冷え始めた校舎に自分の足音だけが響く。
コッ、コッ、コッ・・・・・・
身体は大きくなった。 それでも、ここは大きく、広く、そしてさびしく感じる。 久しぶりの学校に、どうやら迷子になってしまった。 ここが、どこだかわからない。 外の風景から、ここは2階。 新棟が見えるから、旧棟だろう。 向こうは図書館になっていた、はず。 あんまり、自信はない。 毎日通った校舎も、記憶朧ろだ
・・・・・・・・・・・・
何か聞こえる。
・・・えっ・・・・・・ぐぅっ・・・・・・・・・
泣き声。 くぐもり声で泣いている。 クラスの札を見ると、『2年3組』とかかれている。
おかしい。 自分の通った学校に『3組』は存在していない。 田舎の、それも人数の少ない学校だったから、小学校では2クラス。中学校では3クラスあったものの、『ABC』で分けていた。 『3組』というのは知っている景色の中で、絶対に存在してはいけないものだった。
それでも、泣き声が気になり、教室のドアを開けてみた。 40個近い机が整然と並び、夕日の色に染まっている。中央の列、前のほうに1人と言えばいいのだろうか、とにかく、いた。根底から違う存在が。
一番目立つのは角だろう。 雄牛の角だ。 内側でなく外側に反っている、鋭く太い角だ。
次に裸だ。 逆三角形の引き締まった体。 剛毛が生えている、ボディービルダーの体。
なにより、デカイ。 座ってこそいるが私と同じくらいの大きさだ。 机やイスが明らかにあっていない。
いわゆる『悪魔』 それが猫背気味になって泣いているのだ。
近づいてみると、机の上にプラスティックでできた皿があった。 給食のときに使っていた、クリーム色の皿だ。 そこに、何かの冗談のように丸々1本のニンジンと、2個のピーマンが置かれていた。片方のピーマンは申し訳程度にかじった後があった。 泣いていた『それ』は私に気づいたようで「だれ?」と聞いてきた。 こっちが聞きたいくらいだったが、自己紹介をした。 名前と、多分この学校の卒業生だと告げた。 『それ』は少しうちとけたのか、ぐずりながら現状を教えてくれた。
「うぐっ・・・あのね、食べられないの・・・・・・にんじんが」
改めて聞くと、地の底から響き渡るような野太い声。そのくせに、子供子供な内容。 このギャップがかわいかった。 よくよく見ると、左胸には名札があった。安全ピンで留めてあるが、素肌にそれではちっとも安全じゃない。その名札には丸っこい文字で、
『2ねん3くみ まおう』
・・・・・・・・・ これが本名なのか? だとしたら、どこまでが名字で、どこからが名前だろうか? 『ま=おう』?『まお=う』?それとも名字なんてないのか? 聞きづらいことだ。
それにしても、でかい。 背筋を伸ばせば座っている『まおう』君の方が立っている私より大きい。彼が立てば天井につく。そんな子(?)が2年生なのだ。様子からして小学生だから、末恐ろしい。 『まおう』君は妙になつっこく、保護欲をそそる。外見的にはそんなことないのだが、内面が子供だからだ。 とりとめない話をして、彼に信頼を得られたころ、別の音に気づいた。
建物全体を揺さぶるものすごい音。 徐々に大きくなってきて、廊下の前で止まった。 横開きのドアが勢いよく開き、そのまま砕ける。 『まおう』君が「ひぃ」と小さな悲鳴をあげる。
開いたドアには『鬼』がいた。 『まおう』君とは違い、角こそないが『鬼』だ。 鬼が迫ってきた。
三十路を突き抜け、四十街道まっしぐら。逆三角縁のメガネにキンキン声で女性姿の『鬼』。 前にふさがるものをなぎ倒し、後には屍すら残さない。 そんな雰囲気だ。
「んっまぁ〜、まおう君。まだ食べてなかったの? 本当にダメな子ねぇ。今日という今日は食べるまで返しませんからねぇ」
典型的なイジワル教師(女性バージョン)の『鬼』は、子供に言ったら傷つきそうな言葉で、『まおう』君をののしった。 いったい、いつ息継ぎをしているのかわからないくらいに、叱りまくった。
端から聞いていても長い時間がたち、一呼吸入れたとき、私は『鬼』に声をかけてみた。
「あの〜、それじゃあ、あまりにもかわいそうじゃあ・・・」 「んっまぁ〜、何を言っているのですか。 あたしはこの子のためを思っていっているんですよ。 この子が将来、立派な魔王になって、もう、これ以上にないくらいむごたらしく世界を崩壊させられるように尽くしているのに、それをあなたは非難するのですか。まったく、無教養な人はこれだからタチが悪いわ。甘やかすばかりが優しさだと思って、しっかりとした躾を理解しようとしないなんて。 だいたい、あなたはなんですか? ここは関係者以外立ち入り禁止ですよ。 早く出て行かないと警察呼びますよ。 さあ、さあ、さあ、さあ、さあ。出て行きなさい。 ホント、世の中物騒になったわね。 こんな変な人、学校に入れるなんて。 ほらほら、出てった、出てった」
矛先がこちらに向き、勢いに負けて学校から追い出されてしまった。 ここで目覚めました。
概ね、こんな感じです。 あまりに突飛な事が多いので、夢占いの本でも判別が難しいです。
それにしても、(私の夢の中で)魔王はニンジンが嫌いなようです。 勇者の皆様はニンジン片手に戦うことをおすすめします。 もっとも、責任は負いませんが。
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