水野の図書室
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2005年02月28日(月) 藤田宜永『天からの贈り物』

東京で暮らす息子から、会わせたい人がいると手紙を貰った父親が上京したところ
から物語は始まります。新宿・歌舞伎町の路上で、ギターを弾きながら歌う息子が
父親に紹介した女性は、30年前、学生時代に愛した女性の娘で──。

若かった頃の儚かった恋の思い出を慈しむ父親を、ずっと見ていたい。
そんな気持ちになります。自分で決めた結婚でも、もし、他の女性(男性)と結婚
していたら、全く別の人生だったという想いは、誰にでもあるのかもしれません。
自分の人生を後悔しているわけじゃなくても。

まあ、過ぎてしまえば、思い出は美しくなるもの。結婚しなかったからこそ、若い日の
恋が、輝いたままなんですよ。そして、彼女に瓜二つの娘が、あの頃の彼女と
同じくらいの歳で、自分に全てをまかせてきたら……。こういうシチュエーションを
きれいに描く藤田宜永は、噂どおりの恋愛小説の旗手。胸がうるおいます〜。

ときめき・恋愛・ミステリーのバランスもいい感じ。流石、山前譲コレクション、
満足度が高いです。


偶然、こんなことがあり、びっくりです。こちら


水野はるか |MAIL
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