Opportunity knocks
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小川洋子 「ブラフマンの埋葬」
掃除機を綺麗にかけた床に寝転んで、午前いっぱいかけて読んだ。
固有名詞がほとんどでてこない小説。僕がいて、碑文彫刻師がいて、娘がいて、芸術家がいて、そして、ブラフマンがいて。 どこにあるのかもわからない創作者の家。整理整頓された秩序のある世界と、先の読めないブラフマンという存在。 先の読めない不協和音だからこそ、優しさや悲しみが生まれるということ。
読みながら静かだとおもった。こんなに静かな気持ちで本を読んだのは久しぶりだような気がする。 あまりにも静かなので鳥の囀る声や、遠くで子供が笑う声や、風で揺れるカーテンの音がきこえてきた。 そんな音をききながらの読書だった。
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