ON LOTUS
DiaryINDEX|past|will
台風の余波の雨雲は途切れたようだ。 先刻まで雨に息をひそめていた秋の虫が、窓の外で鳴いている。 家人は寝静まり、外の虫の音以外の物音といえば、自分の立てる頁を繰る音ばかり。 快い秋の夜長だ。
と、背後に小さく違和感を覚える。 その気配を、私は多分、知っている。
奴だ。
放っておけば、いつかその気配もなくなってしまうのだろう。 しかし、私はためらわなかった。 私には、気がつかないふりなど、できはしないのだ。
振り返り、即座に覚悟を決めた。
そして、私はそっと呟く。 南無阿弥陀仏。
|