日々雑感
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2001年12月11日(火) オヤジ泣かせ

いつも行く銭湯には番台前に小さなロビーがあってテレビが置かれている。野球やサッカーなどの中継やバラエティー番組が流れていることが多いが、毎日風呂あがりのおじさんたちが座り込んでは、番台のご主人といっしょに何だかんだと賑やかである。おじさんたちの井戸端会議といった雰囲気。

ある日、風呂から上がってロビーに行くと、人はいるのに妙に静かである。見ると、皆(番台のご主人まで)視線がテレビの画面に向いている。真剣な表情で誰も口をきかない。いったい何だと思ったら、番組は「プロジェクトX」。「オヤジ泣かせ」の評判もダテじゃないなと、思わぬところで底力を見せつけられた。

NHKといえば、12月24日の「NHKアーカイブス」でドラマ「安寿子の靴」を再放送するらしい。「安寿と厨子王」をベースとした唐十郎脚本のドラマで、家出してきた幼い少女と学生服の少年との出会いが京都・鴨川を舞台に描かれる。小学生の頃にこのドラマを見た。話の筋などは忘れてしまったが、作品の空気が強烈に印象に残って、「安寿子の靴」というタイトルと共にずっと引っかかっていた。ぜひもう一度見たかったので、再放送はうれしい。

唐十郎脚本・三枝健起演出というコンビのドラマは、この「安寿子の靴」の他にも「匂いガラス」「雨月の使者」などがあって、どれにも共通するのは、少年と少女、そして外側にいる存在としての大人という図式か。何しろ内容をはっきり覚えていないのでちょっと違うかもしれない。けれども、どの作品にも等しく流れている湿り気をおびた空気、濃い影、痛々しさ、そうしたものははっきりと覚えていて、それだけでも十数年ものあいだ心の奥底に居座り続けるには十分だったのだ。ぜひ3作品とも再放送してほしい。ちなみに3つとも主題歌は中島みゆきの書き下ろし。(「プロジェクトX」とつながった)

「安寿子の靴」は12月24日(月)23時40分から。90分。


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