今日も道に迷う。まだ通ったことのない路地を見つけたので入ってゆくと、どんどんと道は細くなり、最後には小さな広場に出た。広場を取り囲む家々の窓は閉まっている。少し古ぼけたレースのカーテン越しに、鉢植えのシクラメンが見える。迷う余地のある街にいるのは嬉しい。毎日、よろこんで迷子になっている。