日々雑感
DiaryINDEX|back|next
ここにいると、なぜだか「なつかしい」と感じることが多い。日暮れた街を人びとが行き交う感じだとか、日曜日の午後、トラムに乗りながらぼんやりと外を眺めているときだとか、道沿いに並ぶお店の窓をのぞきながら歩くときだとか。風景に対してというよりも、そのとき、そこにある空気そのものへの既視感か。
いったい何だろうと思っていたが、これはたぶん、すべてが自分にとって知らないもの、はじめてのものであった、子どもの頃の感覚なのだ。緊張しながら、知らない場所へと踏み込んでいった。目の前に現れる、ひとつひとつのものをじっと見ていた。世界は広く、果ては見えず、心細さと好奇心とを同居させながら、ずんずんと歩いていた頃だ。
学校帰り、街にあふれかえるハロウィンの飾りつけを前に、急にかぼちゃのケーキが食べたくなり、パン屋に寄り道(パン屋にケーキ類も置いてあることが多い)。笑顔にて機嫌よく相手してくれる、お店のお姉さんの優しさが胸にしみる。何も、いつも他の人に冷たくされているわけではないのだが。
|