日々雑感
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万聖節。祝日。近所に住むドイツ人夫妻は「亡くなった人たちのことを思い出す日」と教えてくれた。この日には家族が集まり、花などを手に、そろってお墓へ行くのだという。
万聖節もハロウィンもケルト起源である。古代ケルトでは、11月1日が新しい年が始まるという元旦にあたり、その前夜(つまりハロウィン)は、あの世とこの世の境が開き、死者たちが帰ってくる日とされていた。収穫の秋が終り、冬へと本格的に向かってゆく季節の変わり目の一夜、あらゆるものの境界線が溶けて混ざり合い、精霊たちが跋扈する。
死者が親族のもとに帰るあたりはお盆を思わせるけれども、仮装し、お菓子を求めて家々を訪れる子どもたちはやっぱり「なまはげ」に似ている。なまはげが山から下りて来るのも大晦日の夜だ。「移行」するときには必ず境い目が開き、そこから何かがやって来るのか。あるいは過ぎ去ろうとする古い季節の象徴か。
「万聖節」が祝日となるのはカトリックが強い地域だけである。カトリックが多いこの州では祝日だったけれども、プロテスタントが多い北ドイツのほうではしっかり「平日」らしい。そういえば、大学の職員の人は「ここはドイツでいちばん祝日が多い州だ」と嬉しそうに言っていた。
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