日々雑感
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2003年12月05日(金) 音のちから

夜、コンサート。まだ23歳の女性バイオリニストなのだが、真っ赤なドレスを着て舞台に現れ、一音目を奏でたその瞬間に場の空気が変わった。何という音。雲間から不意に太陽の光が射してきたときのように、悲しみとか、喜びとか、嬉しさとか、怒りとか、すべての感情の根っこに共通する大きな流れが、ふと垣間見えたような気がした。

ブルッフとヴォーン・ウィリアムズのバイオリン・コンチェルト、どちらも素晴らしかったが、圧巻はアンコールでの無伴奏のバッハ。隣りの席にいた友人が「音で静寂までつくり出す」と言っていたけれども、まさにその通り。いつまでも聞いていたかった。けれども終わりはやってくる。

帰り道は歩き。今晩はサッカーの試合もあったらしく、チームのマフラーを巻いた集団とすれ違う。気分が高揚気味なのは、どちらも同じ。


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