日々好日

2001年12月11日(火) 器の中の情念

梶井基次郎を読んでいる。

彼の小説は、人間という器の中にある情念が、ある形をとって噴き出す
様が描写されている。それは「小説的真実」なのかもしれないし、作者
の個人的体験なのかも知れない。しかし、それは過去の自分の体験を呼
び起こすのも確かだ。してみれば、何らかの形で現実に結びついている
のだろう。

自分の成長の過程は、自分の中の情念を宥め賺してきた歴史であった。
それを思うと、小説という異空間が、そういった生きるに厄介な事共を
再現する場所であるのだということを改めて認識する。

ただ、今になってみると「うまく生きる」ためにしてきたことが「よく
生きる」ことに役だったのか、心許ない自分もいるのだけれど。


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