買ったばかりの御洋服を着て。
真夜中に彼に逢いに行った。
国産車はやっぱし乗り慣れなくて。
何時もとは違う緊張感が私を覆っていた。
真夜中のドライブはどうしても昔の記憶を彷彿とさせてしまうから。
其れを掻き消したくて頭の悪い女みたいに喋り続けていた。
それにしても何故に車を運転している男の横顔は
あんなにも素敵なんだろぅ。
夜の薄暗さがそうしているに違いない。
知らない道を当ても無く彷徨っていたけど。
何時の間にか家の近くに着いていて。
彼も疲れているし早く帰らなきゃいけないのは
解っているのに。
どうして。
どうして。
どうして。
どうして。
どうしてあんなに哀しいのだろぅ。
車を降りる決心が付かない。
ドアを開けて。
降りて。
ドアを閉めて。
背中を向けるという行為が。
とても重い。
だって。
昔はずっと。
車を降りたら。
其れはもう『終わり』を意味していたから。
だけど現在は違う筈だ。
だから優しく髪を撫でてくれる彼の手を信じて。
せーのって勢いつけて車を降りた。
また逢える。
また逢える。
また逢える。
だから。
大丈夫。
此れで終わりなんかじゃ無い。
2004年08月22日(日)

かつて・・。 / 桃色少女

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