最強の星の真下

2002年06月25日(火) 傘。

今日はきちんと傘を持って行った。
折りたたみ傘だった。
風にあおられ壊れた。

・・・こんな日もあるさ・・・。


壊れた傘を見ながらふと思い出した。
昔、幼稚園の頃はみんな黄色い傘だった。
「黄色」と一口に言っても色々な色があるけれど、みんな「山吹色」の傘だった。私の傘だけ檸檬色で、幼心にもこっちの黄色の方が綺麗だ♪と自慢だった。持ち手はみんな黄色いプラスチック。私の傘だけ透明なプラスチックで、名札が中に入れられる。これもちょっと自慢だった。
大事に大事に小学校の2年生くらいまで使った。その頃になると、みんな段々黄色ではない傘を持ってくるようになっていたけれど、私はその檸檬色が大好きだった。
傘の布が骨から外れれば糸で修繕し、骨が曲がればペンチで直し、留め具が外れれば針金で継ぎ直して檸檬色を使った。
身体が大きくなり、小さな幼稚園児用の傘ではもう用を成さなくなってきた、という理由で、ついに新しい傘に代替わりするまでずっと、檸檬色が私の傘だった。

たった今思い出したけれど、幼稚園の時に引っ越しをしたのが檸檬色の理由だった。引っ越し前に通っていた幼稚園ではみんな檸檬色だったんだ。
そうか。そうだったのか。当時は自分のだけ何故色が違うのか、よく分かっていなかった。

今はもう、あの小さな鮮やかな檸檬色の傘はないけれど、どんな傘屋さんに行っても、あの檸檬色に遭遇することもないけれど。
いまだに細部まで思い浮かべられる。
あの檸檬色が私の傘だった。


今は傘を自前で修繕したり、そういえばしない。すぐ新しいのを購入してしまうし。すぐ買うから愛着が湧かないのか、愛着がないからすぐ新しいのを買うのか。
何とはなしに、消費ってツマラナイよなあ、と寂寞感を覚えた。
雨なのに寂寞してどうする!余計にジメジメするだろう。


・・・でももう一度だけ、あの檸檬色に逢いたい。


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桂蘭 [MAIL] [深い井戸の底]

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