最強の星の真下

2002年06月27日(木) 評判。情報。

本をドカ買いした。・・・四国まで来て何をやっているんだか・・・。でも普段本屋さんに置いてないような本ばっかり「書籍販売」コーナーで売っていたんだから仕方ない!本は出逢いです。(←・・・と自分に言い聞かせる)
専門っぽいけど微妙に専門書ではない本ばかり購入。こういう本は、はっきり言って高価い。専門書ほどではないが高価い。
・・・高価かったよ・・・。
うっかり専門書の方にも手が伸びかけたが、大きな本(A4サイズとか)ばかりだったのが幸いし、道を誤らずに済んだ。

こんな遠方に来て、土産物の一つも見ず、土地の美味しいものの一つも食べずに何やってるんだ私・・・。


さて。先日も少しお医者さん話を書いたが、本日もお医者さん話を少し書こう。

ちょっと考え込んでしまうような話がある。
とあるお医者さん(仮にA先生としよう)の患者さんが、別の病院のB先生の手術を受けたいので紹介状を書いてくれ、と行って来た。患者さんはB先生の良い評判を耳にして、ぜひ自分の手術を彼に!と思ったらしい。
A先生は同じ分野にいるB先生の手術を何度か見たことがあり、その手術は下手だった。A先生は患者さんがそれで納得するならば、と紹介状を書き、患者さんはB先生の手術を受け、数日後に亡くなった。

A先生は間違っていただろうか。私はそうは思わない。上手い下手は個人の主観と言える。誰かと較べた時、上手い、下手、という判断が成立するのだから、較べる対象により上手い下手は変わってくるはずだ。
そのような流動的な評価でB先生を貶めるような事は言えないだろう。
そして患者さんも、B先生に手術して貰うと自分で医療を選択したのだ。
結果としてそれは裏目に出たのだが。

「評判」の怖ろしさとはこういうものだ。素人は、専門家の判断が出来ないから素人なのである。そして「評判」とは素人達が作るものなのだ。
「情報」と「評判」の違いを認識するのは難しい。
メディアは、単なる評判を「情報」にすり替えて提供することが間々あるし、素人は、それをどう見分けるのかなんて知らないのだ。

正しく「情報」を提供されても、素人は、正しく情報を解読することが出来ない。当たり前だ。素人だというのはそういうことだ。専門家に噛み砕いて説明して貰っても、正しく理解できるだけの下地がない。素人なのだから当然だ。

「分からないなら勉強しろ」と言うのは容易いけれど、誰もが自覚的に勉強できる訳でもない。公立学校は、こういった「本当の勉強の仕方」なんて教えてくれない。教えて貰えても、実行出来るとも限らない。
勉強しても、解らないものは解らない、かもしれない。現に私は理論物理も解らなかったし、統計数学なんて呪文のようだったし、ラプラス変換なんて欠片も理解できなかった。

まるで半透明のゼリーのような世界だ。何となく情報のようなものは溢れているのに、本物かどうか、はっきり手にとって確認できるほど視野は透明ではない。

なんて不確かな。


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桂蘭 [MAIL] [深い井戸の底]

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