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- 2003年07月29日(火) *これはほとんどノンフィクションです
改作版<リリーとまみちゃん>
リリーは2年前の夏、心臓に穴があいてお星様になってしまいました。
とおい とおい昔のお話です
あるところに 雲の国がありました
その雲の上にはたくさんの動物達が住んでいました
動物達を取りしきっているのは 動物の王様、ライオンでした。
雲の上からは未来が見えるのです。
地上に住む子供達の未来が。
王様はある一人の女の子を見つけて思いました。
「この子にはパートナーが必要だ」と・・・。
王様は国の中でも一番利口で、優しいリリーという犬を呼びつけて言いました。
毛並みがいい、心の優しい利口な犬でした。
「リリーよ、地上を覗いて見ろ。あそこに女の子が一人いるだろう?
あの子はな、これから先、とても重い病気にかかるのだ。
だからお前が一緒に手助けしてやってくれないか?
あのこのずっとそばにいて一緒に暮らしてやってくれないか?」
リリーは迷いました。
何故って、ここの雲の上の世界が大好きだったからです。
みんなでずっとずっと一緒に遊んでいたいなあって思っていたからです。
悩んでいるリリーに王様は
「お前にしかできない事がきっとあるはずだ。よーく考えてみてくれないか。」
そう言いました。
一晩考えたりリーは、王様に報告しにいきました。
「王様、僕、あの子の手助けに行って来ます。何が出きるかわらないけど
でも、行って来たいんです。」
王様は言いました。
「リリー、よくぞ決心してくれた。気をつけて言ってくるがよい。
だがな、1つだけ約束があるのだ。」
「約束とはなんでしょう?」
「お前は犬だろう?犬はな、人間のまえでは喋らない生き物と決まっておる。
だから何があろうとも、絶対喋ってはならぬぞ。」
「はい、分かりました。行って来ます。約束は必ず守ります。」
リリーはお気に入りのピンクのリュックサックに
サツマイモのから揚げと、雲の国特製の高級チョコレートを
白いハンカチに大事に包んで出発する事にしました。」
ライオンの王様は雲の上から魔法をかけて人間には見えない透明な
白いハシゴを地上までたらしました。
柔らかくてゆらゆら揺れます。
とても危険な仕事です。
リリーは雲の上のみんなに行って来ますを手を振って告げてするすると
そのハシゴを下りていきました。
三日見晩、途中途中休みながらリュックの中のチョコレートや
大好物のさつまいものから揚げをたべたべ、三日目の夜中にようやく
地上に降り立ちました。
リリーはまだ生まれたての子犬でした。
ずるずるとどこからかダンボールを引きずってきて
その中に入っていました
お日様がちょうど空の真中を指したとき、
あの女の子がリリーを見つけました。
おんなのこの名前はまみちゃんといいました。
まみちゃんは、お母さんにせがんでリリーを飼ってもらえることになりました。
まみちゃんとりリーはいつも一緒でした。
田んぼでおたまじゃくしを取るときも
絵本を読むときも
蝶々を捕まえる時も
ご飯を食べる時も
寝る時も
リリーは思いました
「本当にこのこは病気になるんだろうか?
こんなに元気なんだ、きっと王様の言っていたことは勘違いだろう。」
そんなこんなしているうちにまたたくまに二年の歳月がたちました。
それでも、湖の輝きも、お花畑のいい香りも、みずみずしい草々の
緑の濃い色も、小鳥のさえずりもいつもと変わらず笑っているように
ほのぼのたたずんでいました。
ところがそれから三日後、恐れていた事がおきてしまいました。
まみちゃんは王様の言っていたとおり病気になってしまったのです。
お医者さんが、外に出てはだめだよ。と言っていたのを
リリーはしっかり聞いていました。
だからいつもベットのそばで寝ているまみちゃんのそばで
ずっとずっと笑って支えていました。
それでも心は悲しくて気持ちのやり場がありませんでした。
それでもせいいっぱいリリーは笑顔でいました。
まみちゃんはリリーがいつもそばにいたので
安心していつもベットに横になっていました。
それでも、時々苦しくてリリーに聞こえないように
お布団を頭からかぶってしくしく泣いていました。
まみちゃんがあまりにも辛そうなのでリリーは
王様と約束した「言葉」を使ってしましそうになリ、
その思いをぐっとこらえました。
それでもリリーはその事もちゃんと知っていました。
だからリリーはずっとそばにいてあげないとって思いました。
まみちゃんの病気は、三年後、ようやく治りました。
まみちゃんは嬉しくて嬉しくてリリーと一緒に湖に遊びに行きました。
湖をのぞくと、にっこり笑った小さい可愛いまみちゃんと
しっぽがふさふさの優しいりリーの姿が映りました。
まみちゃんは言いました。
「リリー、いつもそばにいてくれてありがとう。
病気が治ったのはリリーのおかげだよ。これからもずっと一緒だよね?。」
リリーも嬉しそうにしっぽを振りながら深くうなづきました。
それから何日かたって、まみちゃんによくない出来事が起こりました。
みんなみたいに元気じゃないのです。
それは病気のせいでした。病気は治ったのだけど、体がだるくって
外に遊びに行けないのです。何もやる気が起きないし、頭がガンガンします。
いいようもない不安や恐怖が襲ってくるのです。
胸がドキドキします。
胸に悪魔が住み着いたようで、息が詰まる。些細な事で傷つき、どうしていいのかわからないのです。
助けて、助けて。
私もっと頑張れるよ。ホントは頑張れるよ。
かけっこだって、お絵かきだって、勉強だってもっともっと頑張れる。
でも体が言うこときかないんだ。動かないんだ。
もう頑張ってる。だから「頑張れって言わないで」
みんなとも会えません。
まみちゃんは悲しくって悔しくって泣いてばかりいました。
泣いても泣いても涙は止まりません。
どうして私だけこんなになっちゃったんだろう。
みんなと一緒に遊びたいのに。
私なんにも悪い事してないのに。
あふれる涙をリリーは一生懸命ぺろぺろなめました。
それでもまみちゃんは悲しくって
お家の中に閉じこもるようになってしまいました。
リリーが「一緒にあそぼうよ」
と誘ってもしてもまみちゃんはそっぽを向いたままでした。
まみちゃんはリリーに聞きました。
「なんで私だけなの?なんで私だけ、みんなと違うの?
私だってみんなと同じに元気になりたいよう。
リリー、助けてよう。」
何度も何度もまみちゃんが繰り返し聞くので
泣きじゃくるまみちゃんに、リリーはとうとう言ってしまいました。
「大丈夫、そのままのまみちゃんが僕は好きだよ?」
何かしゃべった?リリーが?
そんな分けないよね・・・。
次の日、まみちゃんがベットから起きあがるといつも隣で寝ていた
リリーの姿が見当たりません。
びっくりしたまみちゃんはそこら中を探しました
ベットの下、窓の向こう、カーテンのかげ。
どこにもいません。
まみちゃんは体がだるいのも忘れて駆け出していました。
もしかしたら、前に遊びに行った湖にいるかもしれない。
まみちゃんはやっとのおもいで、湖のほとりにたどり着きました。
ずっと前に二人で遊びに来た場所です。
広い広い広い湖をそっとのぞき込みます。辺りはもう薄暗くなっていました。
「私の事、だまって笑ってみててくれたのリリーだけだったよね?戻ってきて欲しいの。早く帰ってきて。
お願い。。。」
湖の上でまみちゃんは大泣きしました。
声をあげて泣きました。
帰ってきて・・・
帰ってきて・・・
涙が湖に一粒こぼれ落ちたとき、水面を描くように輪が広がりました。
するとどうでしょう、リリーの顔が、泣きじゃくるまみちゃんの隣にそっと現われたではありませんか。
それは雲の上から見ていた優しいにっこりしたリリーの顔でした。
リリーは何か言いたそう。でもなんて言ってるんだろう?しばらくたつとリリーの顔が消えてしまいました。
それから毎日まみちゃんは泣いてばかり。
「王様、ごめんなさい。僕、約束を破ってしまった。そのうえまみちゃんに何もしてあげられなかった。」
リリーはすっかり落ち込んでいました。
王様はこう答えました。
「許してくれ、リリー。私は始めからこう言う結果になると分かっていて
リリーにこの仕事を頼んだのだよ。心の優しいリリーならきっと何か話すと思っていたのじゃ。
リリーがそばにいただけで、あの子はとても幸せだったんじゃ。」
「そうでしょうか。。。?」
リリーはまだまだまみちゃんが心配なようでした
何週間かたって落ち着いた頃
もう一度まみちゃんは湖に行ってみました。
まみちゃんは得意のケーキ作って空高くかかげました。
リリーにちゃんと見えるように。
静かな静かな夜でした。
気持ちのいい夜でした。