■■■
■■
■ ゴキブリ 2/2
大学1年の夏、僕はニューオリンズのボロホテルにいた。 ユースホステルというやつだ。
2段ベッドが2台づつ置かれた簡素極まりない部屋で、 Danと名乗る黒人のナイスガイと三夜を共にした。
そしてそれは最初の晩に起こった。
もう時計は3時をまわっていたころだろうか。僕はふと 目が覚めた。僕はめったに夜中に目覚めることはないの だが、なぜかそのときは目が覚めた。
意識がだんだんはっきりしてきたころ、左腕に動きを感じた。
「なにかが腕を這っている」
そう感じた僕は、あわててそのモノを振り払った。 悪いとは思いつつも部屋の電気をつけ、様子を伺う。 大きさ3〜4センチの茶色の羽を持ったゴキブリが、 部屋の壁沿いをスリスリと歩いていた。
ゴキブリほど嫌いなものはない僕は全身に鳥肌が立つ のを感じたが、声をだすわけにはいかないので、なんとか ゴキ君を隣の部屋に誘導することに成功し、ドアを隙間 なく閉めた。
世界中でゴキブリを死滅させる運動が起こったら、僕は 心の中で応援したい。
2003年06月21日(土)
|