決められた世界 |
ただ、僕たちは何も持たずに海に出た。 どこにむかうのかも、分からずにただ海にでた。 僕たちはただ、逃げ出したかったんだ。 別に海じゃなくてもよかった。どこでもよかったんだ。 狂うことの無いこの世界から逃げることができたら。
毎日毎日同じように会社に行って、僕らはただ決められた時間をただ過ごす。 いつからか、決まっていたかのように、高校、大学にいき、卒業すれば就職すると言うルール。
僕たちは何をするために生まれて来たんだろう。 僕たちの先はあるのだろうか? 僕たちの未来は決まってしまった。 本当にやりたいことなんか、探す暇もなく高校や大学に行かされ就職しなければいけない世界に 僕らは生まれてしまった。 僕らは何も思わなければ、このままでいられるのだろう。 でも、僕らは生きたいから、この世界に生まれてきた証が欲しいから、この世界を楽しみたいから、 僕らは逃げ出した。 この決められた世界から僕らは何をもらったんだろう? そして、決められた世界に何があるんだろう?
僕たちはもう決められた世界のひとでは無くなった。 僕たちは知るだろう。 明日ってものが、なんなのか。今と言うことの本当の意味を。
決められた世界の住人はこういうだろう。 「馬鹿だ」と、そして、変人扱いをするだろう。 でも、ただ、決められた世界の住人は歯車の一つが無くなるのが怖いから、 自分の居場所が不安定になることが怖いから言うだけだ。
決められた世界に何があるのだろう。 決められた明日に、決められた今日、そして決められた未来。 僕らは、ただ不安でも、先の分からない世界が見たかったんだ。 明日自分が何をやっているのかも分からず、ただ、もがいて今の自分より、成長したいだけなんだ。
先の見えない世界にある自分という証は誰にも見えない。 そして、ただ、その証をイメージして探しつづけるんだ。 先の見えない世界では前に進むことが自分の証を作っていく。 歩くことを止めたら、それは崩れるかのように止まってしまう。
先の見えない世界にある不安のなかには、自分という希望がある。 決められた世界にある安定のなかの後悔の念。
ただ、僕らは自分に何が出来るかを試したいだけなんだ。 決められた世界から逃げたいわけじゃない。 ただ、自分を知らずに生きたいわけでもない。
僕は何をするために、僕であるんだろう。 僕の生まれた場所、育った場所に何があるんだろう。 僕の疑問が大きくなって、僕は海に出た・・・
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2001年12月05日(水)
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