Food for Thought
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用事の帰り、ブックオフに寄ってみた。水村美苗の『本格小説』のハードカバー上下巻を購入。この著者には『私小説−from Left to Right』を読んで以来、いわば同類のような親近感を持っている。 『私小説』は帰国子女の人にぜひ勧めたい。 私の感想は、アマゾンのレビューに載っていたもの、そのままであった。
「読み進んで行くにつれ、こんなにずっと継続して、 ある種、潜在的な意識レベルに内在していたものについて、 ぐんぐんと引き上げられるような感覚を おぼえる本というのははじめてかもしれない。 こんなに苦しく、こんなに快感を覚え、 胸の底の方にたまっていたものを 突き刺した針の穴からすぅっと抜き出していく。
子どもみたいに、無力さに泣き出しそうになる。
…
わたし自身の私小説を、この本が描き出してくれている。 そして、過去にいわゆる「帰国子女」と呼ばれた ひとたちの多くが、このような重たい意識を心の奥底に かかえているはずであり、それを実際に吐き出してしまう この小説は、一種の救いとなりうる、かもしれない。」
ところで、ブックオフでは棚にずらっと並んだ『世界の中心で愛を叫ぶ』が妙に目に付いた。値段は200円。アマゾンのマーケットプレイスでは1円! 店内では綿矢りさの『インストール』も在庫多数。 どちらも読んでいないが、こうたくさんあるといかにも誰も欲しがらないつまらない本ということを示しているようで哀れだ。
でも作家としてはブックオフでなんか買って欲しくないんだろうなあ。水村さん、すみません。(古本屋ならいいのか?) 『本格小説』、文庫になっていたことに後で気づく…
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