Food for Thought
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日経夕刊の「プロムナード」欄に写真家の丸田祥三氏が執筆しているエッセイがなかなかいい味で気に入っている。廃墟とか懐かしい町並みなどの写真を撮っているからか、古い物に対する温かいまなざしが感じられる。
「フィルムカメラの思い出」という文章では、頑固な写真館の親爺が中学生の丸山氏に、「カメラが手軽になり、子どもでも気軽に扱えるようになったが、写真の価値は軽くしてしまってはいけないよ。数は撮らずに、一枚一枚じっくりと、心をこめて撮りなさい」と諭されるエピソードが出てくる。
これは一眼レフカメラの話だったが、そういえばデジカメを使うようになってからは前ほど写真を「大事に」しなくなったかもしれない。なんせフィルムがもったいないということがないから。
海外のオーディオ雑誌のコラムに似たようなことが書いてあった。デジタルオーディオプレーヤーなどに1万曲とか、とにかくたくさん入れて持ち歩けるようになった。すると、1曲1曲の扱いが軽くなってしまう。音質にもあまりこだわらない。レコードの頃のほうが、音楽を大事にしていたと。
便利になると、どうやらありがたみが減るようだ。
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