月の輪通信 日々の想い
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父さんと高校時代の友人達との3人展でのこと。
偶然、同じ会場の別の階で、知り合いの陶芸家Fさんの息子さんが作品展を開いておられるの に巡り会った。
短髪に、ちょっと古風な感じすら受ける好青年。
駆け出しの若き陶芸作家。
その爽やかな印象に、「いつかはうちの息子達も・・・」と、心の騒ぐ出会いだった。
Fさんは、昔、うちの窯で仕事をしておられた人。
うちの窯を出て、独立して窯を築き、作家として活躍なさっているさなかに、50代半ばの若さで 急逝なさった。
数年前、たまたま工房で留守番をしていた私がその人の訃報の電話を取った。
まだまだお若いFさんのあまりに突然の知らせだけに、誰もがすぐには受け入れることが出来 ず、電話を取り次いだ私に皆が「間違いではないのか」と何度も確認されたのを覚えている。
隆々と独自の作品を生みだしているさなかの陶芸作家の早すぎる死。
ともに、窯を支えていらっしゃった奥様の悲嘆もお気の毒で、葬儀に参列した人たちの心を濡 らした。
その葬儀の席で、まだ高校生だったご長男が父のあとを継いで窯の火を守っていく決意を語ら れたという。
葬儀から帰った父さんが、まだ幼い我が家の子ども達を傍らに眺めながら、妙に興奮した様子 でそのご長男の言葉を語ってくれたのを思い出す。
代々続いた窯元と違い、一代で窯を築いた作家さんの窯では、継ぐ人がなくて一代限りで廃窯 する窯も多い。
そんな中で、志半ばでなくなった父上の仕事を継いでいくと宣言された息子さんの凛々しさに、 父さんがぐっと胸を突かれて帰ってきたのはよく判る。
父の築いて来たものを、確かに受け取って担いでいく青年の決意の潔さが、いつまでも心に残 るご葬儀だった。
その後、ご長男が陶芸の勉強を終えるまで奥様が窯の火をつなぎ、現在では作家として売り 出し中のお兄さんに続いて、ご次男も陶芸の道に進むべく修行中だという。
「弟が本当に陶芸の世界でやっていけるかどうか・・・」と気遣うご長男には、末息子を見守る父 の風格も垣間見られて、頼もしい。
母上とともに作陶の道を歩み始め、父上の残して下さったものの大切さと同時に、大変な苦労 も困難も経験されたであろうご長男。
弟さんの進路を気遣う優しい兄の顔の裏に、自らの技に厳しい職人の頑固さも感じられ、「立 派になられたなぁ」と思う。
「いい青年になったなぁ」
若いFさんの話が出るたび、父さんも私も感嘆のため息をつく。
まだまだ子どもの域を出ない我が家の子ども達。
いつか「僕が父さんの仕事を継ぐよ。」と頼もしく宣言してくれる日が来るのだろうか。
先日、年末仕事に忙しい父さんの仕事場にオニイが珍しく手伝いに入った。
工房の埃だらけの作業椅子に足を組んで座り、土塊にぐっと顔を近づけて作業に取り組む後 ろ姿は、どこか作業中の父さんの姿勢にも似て、大きくなったなとちらりと思う。
「どこぞの若い人が来たはるのかと思うた。」とひいばあちゃんが嬉しそうに笑う。
ほんの数時間の作業で、早々に退散してきたオニイ。
「まだまだあかんなぁ、20�圓稜甘擇鬚爐蹐�ら持ち上げるのができん。」
オニイの体力不足を嘆く父さん。
まぁまぁ、長い目で見てやってよ。
一日一日、子ども達は少しづつ大きくなり、強くなり、賢くなる。
ある日突然、親の背丈をぐいと追い抜く日が来るように、子ども達の成長は確実にすすんでい る。
まっすぐに、しなやかに、子ども達が自分の道を求めて育ってくれますように。
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