朝、急に思い付いて、masayaをランチに誘ってみた。 いつもごちそうになっているし、いつもお世話になっているので、 今日はあたしがごちそうするつもりで。 masayaが忙しいのはわかっていたが、ダメならダメで仕方ないと思っていた。
彼の返事は、お昼にでかける用事があるから、その後ならオッケーだというものだった。 きっとそんなに時間も取れないんだろう。
11時を過ぎた頃に、そろそろ出ようかと思うとメールが来た。 待ち合わせ場所まで車で向かう。 少し遅れて来た彼は髪を切っていた。
切ったのね。
ああ。切ったよ。どーにも鬱陶しいので。
まだmasayaはお昼からの用事を済ませていなかったようだ。 一緒にそこまでいって、あたしは車の中で待っていた。少しでも長くいられるのは嬉しい。
まだ何を食べるか決めていなかった。 適当な店を2軒ほどあげてみて、絶対空いている方に行くことにした。 時刻はもう12時を過ぎている。
結局はあたしの食べたいものになってしまって、少し苦笑。 masayaはビールを飲む。あたしも少しだけ口をつけてみた。 苦い。いつまでたってもビールはおいしいとは思えない。
一緒にランチを取って、デジカメで彼の画像をちょっと撮ったりして、 食後のコーヒーは他の店へ行く事にした。
珈琲専門店。彼が良く行く店の他の支店。 ストロングブレンドをあたしは頼んで、masayaはサンドライブレンドというのを頼んだ。 一口味見すると、masayaのほうがあたしのより苦かった。
カウンターの隣に座る彼をじっと見る。 睫毛が長い。ねぇねぇ、ビューラーであげさせてよというと、masayaは嫌ですと言って笑った。
後はもう帰るだけだ。 駐車場に戻って、少しだけキス。珈琲と煙草の香り。
帰り道が混んでいたので、迂回して帰ることにした。 はじめて通るという道を彼は選ぶ。ねぇねぇ、知ってるの?大丈夫?少し不安。 ずぅっと進んでいくと、道は細くなり、住宅地に入り、そして、大きな団地の中に続いていた。 それを抜けると、masayaがたまに行く輸入食材をたくさん扱うスーパーの前に出た。
あ、ここだったのねぇ。
そだよ。ところで、買うもんはないのか?
あたしはここのプリンが好きだ。そんなことを言われたら急に食べたくなったので、Uターンして、戻って貰った。
カクテルプリン350円。masayaの部屋で何度か一緒に食べた。 アップルグアバジュース。masayaの部屋で前に少しだけ飲んだ。すっぱくておいしかった。 それだけを買って駐車場に戻った。
masayaの家の近くを通る。 左に曲がればいつもの駐車場だ。でも今日は右折。 少し残念。でも仕方ない。
ガソリンを入れに行って、待ち合わせた場所まで送って貰った。 なんだか別れるのが惜しくて、車の中で一本だけ煙草を吸う。 吸い終わって、さよならのキスをして、あたしはmasayaの車から降りた。
時間がないのに逢ってくれてありがとう。 普通のデートをしてくれてありがとう。
帰ってから、ひとりでプリンを食べてると、少しだけ涙が出た。
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