金曜日。
本当なら、今日の夕方の新幹線で移動するはずだった。 ぽっかりと空いた空白の時間は、少し淋しい。
お友達の家に夕方からお邪魔して、一緒に外に晩ご飯を食べにいって、帰宅する。今日はテレビドラマのスペシャルがあるから。 ゆっくりとそれを観ようと思った。
ドラマに見入って1時間ほど経った時、いきなり携帯が鳴り出した。
「ん?あれ?あ。電話。」
一瞬パニックのような状態。慌てて電話を取る。
「あい。もしもーし。」
「ああ、どうも。お返事も出来なくて申し訳ない。」
「忙しいのね?」
「ああ。とても忙しいんだよ。」
「明日もお仕事なの?」
「とうぜん出動しますよ。」
いつもの口調だ。 飄々としていて、淡々としていて、少し突き放した感じで、でも優しいのかもしれない。
仕事のことや、近況や、友達の事や、セックスの話題。
「ああもうね、『くわえさせてくれよ』って感じなのよ。」
「くわえていただいて、そのままイっても良いってことだな?」
「いやぁ。そうじゃぁないけど。」
そんな事を淡々と話す。 話している間に、時折過去の映像が浮かぶ。
「うーん。ヤリタイのよ。」笑。
「じゃあ次に逢うまで、無駄に濡らしておいておくれ。」
「ほんと無駄だよ!無駄濡れ!」
1時間12分の会話。 当分、彼の時間の都合がつかないことだけは、はっきりした。 でも、次は期待してるから。
少しの時間でも話すと落ち着くんだなぁって、そう感じた。 そんなテキトーな彼は、あたしにとっていったいどういう存在なんだろう?
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