友人とレイトショーに行く途中。
また携帯を手にしている時に、メール受信中になった。 サブウィンドウに彼の名が光る。
あ…。
確認すると、近況を伝える短いメールだった。 どうしても、声が聞きたいと思った。
電話可?5分だけ。
よいよ。
久しぶりに電話をかける。 あたしの携帯電話のメニューには彼のアイコンがある。 何度もトップメニューから外そうとしたのに。
1度の呼び出し音。
はい。
こんばんわ。お久しぶりです。
はい。お久しぶりだぁ。
たいへんだったの?
まぁ、大変だったよ。
今までの経緯。 詳しくは聞けないけど、普通の出来事ではないことを、彼は淡々と話した。 あたしは、どうすることも出来ない自分の立場をとても歯がゆく思う。
あのさ。
ん?
生きてて下さい。お願いだから。
はい。
また来てね。
はい、わかりました。
また、電話していいですか?
どーぞ。
レイトショーはもう始まる時間。 もっといろんなことを話したいと思ったけれど、友人も待っているし、もう切らなきゃ。
逢いたいと思った。 一目だけでも逢いたいと思った。 でも、今の状況ではそれは叶わない。
逢えなくてもいい。 話せなくてもいい。 いつも元気で、生きてて欲しい。
ほんとにそう思った。
いつもと同じ、半年前に逢った時と変わらない声。 半年間のブランクなんて、ぜーんぜんないような彼の声を聴きながら、切なくなった。
…逢いたい。
|