珈琲の時間
INDEX過去未来


2002年04月18日(木)

40代くらいの男の人が買い物に来た。
「仏事で使うから」
そう言った瞬間に、とても詰まった声で
「ちょっと...すいません。」
と言って、口を押さえて瞳を伏せた。
涙をこらえている。

大切な人を亡くしたんだね。
ぎゅうっと苦しくなったけど、
もらい泣きしそうだったけど、
気を引き締めて、まっすぐ見返した。
こんな時、感情は恐ろしいくらい真っ白で、
まっすぐ瞳を見つめ返す事でしか、
精一杯の誠意を表現出来ない自分がいる。
頭の中では様々な言葉が渦を巻いているのに。

一礼に気持ちを託そう。

それは自然の行為。つまりはそういうこと。
頭を下げれば良いってもんじゃないでしょ?>>

返事を返す必要も無い。
人の話を受け入れる状態にあるとは思えない。
ただ、黙ってそこにいて、話を聞いて、
ときどき「そうだよね。」と相づちを打てば良い。
誰も意見なんて求めていないんだ。
自分の気持ちを確認して、
見つめ直すゆとりが欲しいだけなんだ。

そこに見えているのは第三者では無い。
そこに見い出したいのは誰でも無い自分。
だからしっかりと瞳を見つめる事は大事。

まっすぐ見返してくれたなら、あなたは大丈夫。
もしも目をそらしたりしたら、あなたの負け。
興味が無ければ、目を合わせなければ良い。

しっかりとしたあなたを見たいから、
しっかりと見返してあげる。


一回だけね。


urahihc |mailココロのスキマ

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