菜の花朝起きると腋の下や臍の中や耳の穴にびっしりとアブラムシが付着していてそういえば昔、菜の花だったことを思い出す立っているしかなかった養分を吸い取り、日の光を受け、成長しながら外敵に為す術もなく立っているしかなかったそしておそらくは生きるためにではなく摘まれるために立っているしかなかったあの頃を思い出すすでに日は高く光はあの頃と同じように眩しく暖かくアブラムシを叩き落とすためにシャワーを浴びに行く温室のようなシーツから抜け出て歩き始める