おひさまの日記
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2010年08月24日(火) 78年の歴史との共存

昨日の夕方、庭から、シューッ、シューッ、と音がした。
なんだ、なんだ、と思ってのぞいてみると、
母が庭の植物にキンチョールをかけている。
プチトマトも栽培してるんだけど、それにもたっぷりと。

キンチョールって、あーた;

「お母さん、それ殺虫剤じゃん、何やってんの?」

「虫がついてるから殺してるんだよ」

そして、また、シューッ、シューッ。

あああああ…
おかあたん、トマト…(涙)
せめて植物用の薬にしてくれぇ…

でも、それ以上何も言わないことにした。

ウチは毎朝庭で穫れたプチトマトを食べるんだけど、
翌朝のプチトマトは見事にキンチョール臭かった。
こっそり何度か洗ってはみたものの、臭いは消えない。
とても食べる気にはなれなかった。

母は平気で食べていた。

こういうこと、いっぱいある。
へ???
ということを、彼女は平気でやってのける。

おせんべいを食べる時、お皿に入れずにテーブルの上に広げて置くとか。
入れ歯をみんなで使う食器に入れるとか。
食事してるそばで爪切ったり、鼻かんだり。
そのティッシュをテーブルの上に置いたままだったり。
ご飯粒がついたおしゃもじをなめて口紅べっとりつけたままにしてたり。
白いカビが生えたハムをアンナに食べさせようとしたり。
冷蔵庫に入っている4年前のしらたきを料理しようとしたり。
ぞうきんでテーブルふいたり。
はたまた台拭きで食器をふいたり。
マジ勘弁して!ってことがこれでもかってくらい。
そして、指摘するとシラを切って隠したり、嘘をついたりする。
挙げ句の果てには部屋に引きこもり。

振り返れば、母は昔からずっとそういう人だった。
そして、父はそういうことにいらついて母を怒鳴ってた。
昔はお父さんってお母さんを怒ってばっかりでひどい!って思ってたけど、
そりゃー怒るわなー。
親父よ、今あなたの気持ちがすっげーよくわかります(笑)

子供だった私にはよくわからなかったことが、
大人になって外でたくさん学んできて、今、すごくよく見えるものがある。

今まではずっといちいち指摘していた。
その度言い合い。
まさに親父と母親の夫婦喧嘩の再現。

恐らく、いや、間違いなく、abuはすごくイヤだと思う。
暮らしてて、マジ勘弁して!ってこといっぱいあるはず。
実の子供の私だって、ううう…ってこといっぱいあるんだから。
けれど、相方の親にはイヤだとかやめろなんて言えるはずもない。
いつも申し訳ないと思っている。
パートナーの親と暮らす、それほど大変なことはない。
そして、そうしてもらえるなんて、それほどありがたいことはない。
決して当たり前であってはならない。

母と同居してから、そういう意味で私はabuに申し訳なく思っていた。
もちろん、ありがたいという気持ちが常にある。
そして、母の素行を見る度、ピリピリしていた。
abuは私みたいにやいやい言わない(言えない)けど、イヤだろうなぁって思ってた。

そんな今日、ワークショップので親の話になった時、
みずゑさんがこんなことを言っていたのを思い出した。

「私達の親は、そうやってずっと生きてきたから、
 今になってそれがおかしいって否定してしまうと、
 存在そのものを否定することになってしまう。
 だからね、もういいかなって思ったんだよね」

それを聞いて、はっ…とした。

そうだよね。
そうなんだ。
生理的に受け付けないことは本当に気持ち悪いし、耐えられないけど、
でも、黙ってそれを見えなくしたり、知らないふりをしてあげることが、
いちばんいいのかもしれない、そんなふうに思った。
私がそっせんしてそうすればいいのかな、って。

母の78年の歴史をまっこうから否定するより、
それをただただありのまま受け入れて、
あまりにもまずいことは、私がそっと陰で処理して。
それでいいのかな、って。

ふと、そう思った。
私が今母にできる親孝行はそれなのかな、って。

もちろん、う!と思うことは今まで通りあるだろうし、
イラッとすることもあるだろう。
それでも、その時自分がどうあるかは選択できる。

abuにそんな話をすると、彼は、

「うん、それでいいんだと思うよ」

と、言った。
頭が下がる。
ありがとう、本当にありがとう。

私が母にやさしくできない分、
abuとアンナはいっぱいやさしくしてあげてくれる。
ふたりとも、本当にありがとう。
私のお母さんによくしてくれて。
私の分までよくしてくれて。

私は母の、おい、てめー、何やってんだよ!って部分と共存しようと思った。
いわば、彼女の78年の歴史との共存だ。
それがあってよし、それがある中で、うまく折り合い付けながら。
まぁ、私の苦手な部分なんだけどねぇ(苦笑)
やってみる価値ある。

大切な人にやさしくできると心がまぁるくあったかくなる。
そんな体験誰もがしたことがあると思う。
みんなで笑顔になれると本当に幸せ。
お母さん、私も、もちっとやさしいムスメになります。

その経過や出来事がどんなものであれ、
あなたがいるから私が今ここにいる。


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