世界お遍路 千夜一夜旅日記

2002年03月20日(水) 第84夜 ★ワタシ的100年一度親孝行秩父巡礼日記 ★

12年に一度の秩父午歳ご開帳。
まあ、100年に一度の親孝行を、ということで3泊4日の予定で旅することにした。
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3月20日(はれ )
朝7時40分には出たのに、のっていた東急電車各停が2本も急行に追い抜かれ、上野に着いたのはなんと9時。まずいよな。
走ろうにも混んでいて急がない。仕方がないので、まあ待っているだろうと腹をくくってホームいく、9時過ぎ。
さあ、池袋へ、となったら、じじ(父)「しっこ」。
エー、新幹線の中でしてこなかったの?
だって、そばになかった、だから、降りた行こうと思ってばば(母)。
一両おきにあるんだから、前になかったら後ろにあるよ。
とにもかくにも怒っていてもしょうがないから、探す。
きれいになった上野駅構内、昔あったところにトイレがない。
探して2人がいっていたら、もう時計は9時20分だ。池袋発9時31分のレッドアローはあきらめないとだめなようだ。
まあしかたない。ゆっくりいくか、だ。
結局、10時3分、池袋発の準快で飯能、飯能で11時16分発の秩父行き、となった。
飯能からは単線、ぐっと景色もひなびて山間ののどけさがまたいい。
それにしてもいい天気だ。雲一つない。
梅の色とお茶畑が何とも春って感じだが、、、しかし、こんなに暖かくていいのか、とも思う。西武線沿線もさくらが6,7分咲きだもんなあ。ばばも、地震があるかも、という。私と同意見だ。

横瀬で降りる。
宿泊場所は、丸山鉱泉旅館だ。横瀬の一つ前の駅から電話をしたら、即、迎えに来てくれた。
ここは、秩父観光協会のホームページをいろいろとあけて、腰の痛めて、しばし、寝たきり状態だった「ばば」にいいのではないかと決めた宿だ。
なにが違うかといえば、鉱泉のほかに薬草風呂がある。
秩父7湯とかって江戸期から鉱泉宿のあった秩父だが、薬草風呂というのはここしかない。ハーブバスとかいうんだったら「ヘン」と思ったんだけど「薬草風呂」というのがいい感じ。
こういうの「漢字力」というのかしらん。
お迎えに来てくれたお兄さんも素朴な感じだし、宿も、町中より渓谷沿いにあっていいかも、と思ったのが大正解だ。
部屋の窓からはまだ芽吹かない木立が見える。

部屋で、パンを食べて出た。
1番四萬部寺(しまぶじ)についたのは、12時半過ぎ。「南無観世音菩薩」と入った袖無し白衣と午歳ご開帳の文字が入ったわげさ、父母の納経帳等々をそろえて身ごしらえをした。
確かに以前来たときには閉じられていた扉が開いていて、きらきらきしい聖観世音菩薩が輝いていた。
境内には歩き支度の人、親子ずれの人、カップルいろいろ、にぎわっている。
一番さんの境内をでたら、ばば「ああ気持ちがいい日ら、なあ、歩こうやなあ、なあじいちゃん」
じじは、ばばに「なあ」といわれれば、「うん」とうなずく。
はあ??本気かい?
じじ、ばば、を新幹線に乗せた弟がわざわざ電話してきて「おい、あるかせるなよ、おまえと違うからなあ、、タクシーに乗せろよ」といっていたんだけどな。

どっちら?などといいながらすたすた歩く。
私が事故の時に使っていた杖を持ってきたのもよかったらしい。
しかし、1番から2番真福寺までは昔の巡礼道の風情を残す感じのいい道だが、急坂なのだ。距離も3キロ近くはゆうにある。病み上がりのばばと、パーキンソンでアルツハイマーがやや入っているじじにはきついはずなんだよな。
私はここはタクシーに乗せて、町場の3番、4番5番あたりを歩こうと思っていたんだけど・・・・・。
しかし、我が思いを知らぬじじ、ばばは狐の嫁入り的のスピードで歩いていく。
っま、いいか。ギブアップしたら、タクシーを呼べばいいわ。携帯で。

先にたって歩く。
じじは例のごとく無口。ばばは、一人でしゃべっている。
「おお、ここはむかしぶたごやだったやなあ」
「ちがうよ、鶏だ」
「ああ、そうら、ケイジがある」
「このへんもみんないいうちらあ、いい家立ててみんな町に働きに行っているがら、日本国中じゅうみんなおんなじらな」
「おお、梅がいいにおいら、梅も中国の安いのがはいるからだめらろう」
私も、いちいちレスするのは面倒だから聞き流す・・・一人で話しているばば・・ああ・・足はだめでも口元気だわ、ばばは相変わらず・・・。
じじは淡々と後ろから着いてくる。
途中で12年前の午歳にもお参りしたというご夫婦と少し話した。
「がんばってますねえ」
じじ、ばばを励ましてくださる。

杉林の急坂になったらさすがのばばもすこし、静かになった。

結局、1時間ちかく歩いて2番へ到着した。
2番は、無住だけれど、秩父では私が好きな札所の一つだ。岩盤の上にあって、かなり「気」が強いところだ。
花桃、椿、梅が盛りだった。
空に雲一つない。
ホントにいい気持ちだ。
結局、また下って2番の納経所の光明寺まで、40分あまりも竹林の急坂を歩いた。ばば、下りだからいいとかって。
偉かった、じじ、ばば。
「もうタクシー、乗ろうよ」
「ああ、もう明日はだめらな」
と、ばば。
そうかい、そうかい。それもいい。

後はタクシーで、3番常泉寺・4番金昌寺・5番語歌堂・・ここで時間となりました。
もういくつかいきたかったんだけど、まあいいとしましょうか。

帰ってきてばばは風呂2回。じじは1回。風呂で迷いそうなじじなので、わたしが出口でまっていた。
夕食はなかなかのごちそうだった。
お風呂には地元の人がわざわざ車で入りにきている。ここの薬草風呂はきくんだよ、といっていた。私のカン大当たり。
ばばのからだにきくといいが・・・ねえ。

今21時48分、二人はいびきをかいて寝入っている。
明日も晴れそうだ。
観音様、ありがとうございました。

<白衣・納経帳など9100円 1300円×4寺=5200円 タクシー5400円 電車750円×3人=2250円
 お昼サンドイッチ、おにぎり 700円 私 電車 920円>


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