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2002年12月19日(木) 大事な仲間の死。

●稽古場に着いて、朝一番で、かつての俳優仲間がバイク事故で死んだと知らされた。それをどう受け止めてよいやら、心のまったく落ち着かぬうちに、今日の稽古のための一息つく間も惜しいほどタイトな準備が始まり、そのまま稽古に突入。面倒なシーンを作っているので、緊張集中しっぱなしの7時間。終わって、緊張の糸が切れると、放心状態になってしまった。

●きりりとクールに存在し続けるべき稽古場の隅で、泣く。同じ現場にいた俳優仲間が肩を抱いてくれる。

●明日の準備を終えて稽古場を出る頃には、何か大事な栓が抜けてしまったようで、いつもの倍以上の時間をかけて、駅までの道を歩いた。納得できない、消化できない、どうしようもないものにぶちあたると、わたしはいつもそんな風になってしまう。歩きながら道に涙をこぼした。

●死んだ仲間は、集団の後輩だった。彼の奥さんはわたしの同期だった。
 二人は、金がなくても何がなくても、お互いがいれば生きていける、幸せでいられるといったタイプのカップルだった。その、欠くべからざる片割れを失うということ。

●仕事に追われる恋人に、頼み込んで、1時間だけ一緒にいてもらう。何が変わるわけでもないけれど、心がちょっとずつ凪いでいった。何が変わるわけではないけれど、こうして大事な他者に助けられつつ、また明日も生きていかなきゃならない。緊張の糸を張り直して。
 今は、まだ、ただ放心しているけれど、眠りを越えて、また扉を開けて出ていこう。なんとか、なんとか頑張って。


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