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● 休演日。確定申告を何とか終えて、帰り道。目に飛び込んでくるのは終わりかけの梅の花。わたしはあの花たちの、濃い紅色に染まった萼と、花びらの薄桃色と、おしべの黄色のコントラストが好きだ。カメラを持っていないのを悔しがりながら、滅多に使わない携帯のカメラを持ち出して、パシャッとおさめる。
●旅公演のときの迷妄状態から抜け出し、安定した日々が始まっている。すべては仕事がうまくいっているから。 夜公演と昼公演の間に、長いつきあいの主演女優の楽屋で馬鹿話に盛り上がったりするのも楽しい。子役たちをからかっているのも楽しい。静かに本を読んでいるのも楽しい。夜公演の準備が続く空舞台を何気なく眺めているのも楽しい。 すべては穏やかに、時間が進む。自分を泡立てる何かが欲しい、見つけなければという心は常にあるが、先月の心の乱れを思うと、今しばらく静かに過ごしたい、と、どこかで願っているようだ。

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