Opportunity knocks
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日蝕の前後くらいからどうもお日様のご機嫌がよろしくない様子。 灰色のどんより湿った空を眺めながら、ためいきの毎日。
明日から8月。
今日、ある方にお会いした。
ある方とは、連れ合いの父。 35年前に、連れ合いと母を置いて家をでてしまった。 それからずっと音信不通だったのだけど、今回正式に離婚を成立させるため(要するに離婚届に判を押し、署名してもらうために)お会いする事になった。 はじめは現住所もよくわからず、何回も役所へ通ってやっと愛知県の東部の市に独りで住んでいることがわかった。
連れ合いは出かける前からずっと緊張していて、でもわたしはそんな連れ合いのそばでじっとみていることしかできなくて。
突然の訪問だったのだけど、すぐ家にあげていただいた。 質素だけど、ひとりの生活を自分のペースで営んでいる、そんな雰囲気が伝わって来るようなお宅だった。 色あせたようなグレーの瞳をまっすぐ向け、訥々と、そして思いの丈の感情をこめながら、ひとつひとつ話をしてくれた。
ふたりの話をそばでききながら、この方と連れ合いのこれまでの人生に思いを巡らせた。 なんというか、言葉がでなかった。
その方にはその方の譲れない事情というものがあり、その末に家をでられたのだということはわかる。 ある程度共感することも(前々からその当時の話をきいていたので)できる。 でもその一方で、幼少から今に至るまでの連れ合いの思いや、突然夫に去られてしまった義母の思いももちろんある。 そのそれぞれの思いは交わるようでいて、けっして交わらないものなのではないかということをおもった。 いくらせいいっぱい言葉を尽くしたとしても。
あなたのこと、一度も恨んだ事はありません、連れ合いは何度もそう口にしていた。
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