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■ ハンター
カンカンと照りつける太陽。 むせ返るような若葉の匂いに囲まれて、私は一つ深呼吸をする。
目の前には何も知らず、光を浴びて気持ちよさそうに眠る獲物。
今日の私の欲求を満たしてくれる、哀れな子羊。
カサリ、と。風に煽られて周りの草花が囁きあう。
『このままだと危ないよ』 そう忠告した草花の声が聞こえたのか 獲物はゆっくりと目を開き、頭を振る。
その仕草は、強い日差しにめまいを起こしたようにも見えた。
音を立てないよう細心の注意を払って、その距離を詰める。
バサバサバサ、と羽音を立てて鳥たちが大空へと舞い上がった。
視線が空へと奪われる。
今だ。
たんっ、と軽やかな音を立てて足が地面を蹴る。 しなやかな筋肉が光の中、美しく躍動する。
次の瞬間には、私の体の下でバタバタと体を蠢かしている獲物の姿があった。
緩慢な動作で、それを持ち上げる。 少し力を入れたせいか、先ほどよりもその抵抗は弱いものへとなっていた。
ふふっ。私の手にかかれば、このくらい。朝飯前よ。
私はハンター。狙った獲物は逃がさない。 きょうもまた一匹。私の前でその儚い命を散らす。 ビクビクと、捕らえた獲物が抵抗するようにその体を震わせた。 諦めの悪いやつね。いいわ、最後の瞬間まで私を楽しませて頂戴…?
ガラガラ…
外の陽気な気候につられてか。 眠そうな目をこすりつつ、知人が窓を開け、外の景色を眺める。
ちょうどよかったわ。ほら、見てよ私の獲物。 めったにいないわよ。こ~んなに大きなトカ……
「ぎゃ~~~~~っ!!トカゲぇぇぇぇっ!!」
がたたん、と壮大な音を立てて、後ろの扉へと寄りかかる。
「母さんっ、トカゲっ!トラっ!口、くち、くちぃ~っ!」
「何よまったく……キャアアッ!トラちゃん、離しなさい、それ!」
「おまっ…それ部屋ん中持って入んなよ?!ちゃんと捨ててこいよっ?!」
「あんた、トラちゃん部屋戻ってくる時気をつけなさいね。部屋ん中トカゲが走り回ることになるわよ」
「冗談じゃねぇ!二度とゴメンだっつーの。つか、今月ペース早くねぇか?!トカゲ、スズメに続いて…3匹めかよ?!」
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以上。今日のお昼の出来事でした。
いや、マジで。 なんでそんなに狩猟本能剥き出しにしてんだお前?って感じで。
女の子だろ?!ちょっとはおしとやかにしろよ!!
前の飼い猫。ホームズ・トラ・1世(オス)も大がつくほどハンティングがお好きでした。 そりゃあもう。弟への嫌がらせとしか思えない場所にばっかり、ねずみを放置してね…(笑)
こんどのホームズ・トラ・2世(メス)。 この名前がいけないのか…?! 既に私が実家へと帰ってきてから、「ねずみ3匹、スズメ4匹、トカゲ5匹」 …スズメのうち2匹はこの手でお外へと出してあげました。 そしてトカゲ…最近あんまり見ないよ?!普通!! お前さんが捕まえてこなけりゃ、きっと一生見ることなかっただろうよ!
小さい頃は平気だったトカゲちゃんも、今では脅威の対象。 今では部屋の中へとつれてきた途端、もう一度トラに銜えさせて ネコごと外へおん出すという荒業を使っています…(笑)
なんでネコってわざわざ獲物を家へ持ち帰るかねぇ? いや、見せなくていいから。狩りが上手いって事分かったから。もう。
私の家には、腕のいいハンターがいます。
彼女のおかげで、私たちは常にスリリングで刺激的な毎日を過ごしています。
部屋の壁に血が付いていたら要注意。
部屋の中、隅々までひっくり返した大掃除タイムです。
ぢゃないとスズメのミイラと一夜と共にすることになりえないからっv
(酔っ払った母が目覚めた朝。寄り添うようにしてすずめが冷たくなって死んでいた。以来、私たちのトラウマだ…(笑))
2004年06月18日(金)
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