写真 |
弟が明日、下宿先へ引っ越す為、 今日、家はバタバタとしていた。
4人でこうやってご飯食べるのも、もうしばらくないね、と 母が淋しそうにしていた。
新品のスーツに着られてる弟を見てると 自分たちの入学式を思い出した。
晩ご飯を食べ終わって、父が家族写真を撮ろうと言い出した。
あたしはそういう、ドラマみたいな「家族団欒」が苦手だった。 今でこそ両親からの愛情は受け入れられるようになったけれど、 やっぱりまだ、苦手だった。 もともとその晩、機嫌が悪かったあたしは、渋々参加し、 ふてくされた顔で写真に映った。
いつもそうだ。 大概、家族写真を撮る時、あたしは機嫌が悪い。 家にある写真はきっと、あたしはみんな同じ、ふてくされた顔をしてるだろう。
セルフタイマーのカメラが光り、
父が、
「ありがとう」と、
言った。
思っても見なかった言葉に、あたしは、どうしてこんな顔でしか映れなかったんだろうと、後悔した。
後悔した。
お風呂場で、独り、シクシクと泣いた。
涙かお湯かわからなくて、あたしは自分が泣いているのかわからなかった。
だけど、シクシクと泣いた。
あたしが何の役にも立たなくても、ありのままを全て受け入れてくれるのは、 親友ではなく恋人でもなく、 やっぱり家族だけなんだ、と思った。
|
2005年03月30日(水)
|
|