Sepia |
ふと流れてきたのはウルトラマリンの香り。
思い出すのは昔あたしを傷つけたあの人のこと。
今日は一日あなたの面影ばかりが目に浮かびました。
今何処でどうしてるんだろう。
思い出に残るものは全部 処分してしまったから
あなたの顔はいつも
あたしの記憶の中のものだけで。
背の高さや、髪の柔らかさは覚えているのに
あなたの輪郭はもうぼやけてしまって
このまま少しずつ薄れていって いつか消えてしまうのかな。
もう愛しくも、憎くもない。
ただ冷たい風があの頃の感情を連れてきて
少し悲しくなっただけ。
二度と触れられないと分かった背中を
追いかけたくて、でももう振り返れなくて
泣きながら歩いた夜の道。
思い出すのはあの人のこと。
傷ついた幼い心。
この街にはもう愛した温もりはあるはずもないのに。
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2004年10月16日(土)
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