Sotto voce
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12月8日、15日と雨が降ったため、
母たちの引越はまだ完全に終わっていなかった。
今日は曇り空だったものの、雨の降る心配はないだろうという父の判断で
唯一のこっていた母の嫁入り道具、和服用のタンスを運ぶことになった。
母が祖母よりもらった唯一の形見である着物数点、
そして私達が成人式の時に母が作ってくれた着物。
その大人っぽさにいつかは着たいと憧れて、結局一度も着れなかった、
母が持っていた紺地に白で花模様を染め抜いた浴衣。
そんな、いろんなものが詰まったタンスを運び出し、
ついに我が家から母の所有物が消えた。
その作業のさなか、妹が私が育てているサボテン'sに目をつけた。
まあ餞別代わりにくれてやれとばかりに、2鉢分けることにした。
母たちの住まいは日当たりのいい場所だから、ベランダにさえ出しておけば
サボテンに日光浴させることができる。
妹がいつまであの部屋で母と暮らすかはわからないが、
できるかぎり、枯らさずにいて欲しいと思う。
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