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泣いた日 2003年08月02日(土) 2部練 2日目 朝の電車は 土曜日だから 人もそんなに多くはないけれど 座る席もないから 優先席付近 扉近くの手すりに掴まる あたしと一緒に入ってきた老人が “常識”という言葉を振りかざし わめいている 対象は あたしの隣で座っていた あたしと同年代くらいの女の子 わめきも終わり 静かな車内で あたしは 音楽に耳を傾けながら ふと視線を落す さっきの女の子が鞄の中に手をやっている 違和感を感じて 見るとヘアピンで 自らの手首の傷をいじっている けれど いじるではなかった ピンは何度も往復を重ねるごとに 徐々に 皮膚の中へと沈んでゆく それは 明らかに自傷行為 あたしは 怖くなりました 一瞬 どうしようかと 悩みました 止めるか 見過ごすか でも ダメだと思ったから 落ち着くための行為だったとしても カラダに傷を付けるなんて たとえそれが自身のモノであったとしても 良くないと あたしは思ったから “止めた方がいいですよ” そう言って 腰を下ろして その子の 手をとりました その子は 可愛い女の子で 綺麗な肌をしていて あたしが握った その腕も 柔らかい白い肌で そこに 傷を付けてしまうのはもったいないと そう思った あたしの手を その子の手の中にいれて 爪で 掌を傷つけさせないように 優しく 握った 周りの視線が 集中するのを感じた その子の目から 涙が溢れてきて あたしは ハンドタオルでその涙を拭って 肩を撫でて 落ち着かせようとした “どこで降りるの?” あたしの降りる駅は次だったけど 一人にさせるのが心配だったから 聞く “もう 大丈夫だから” その子は言って 鞄から細い皮を 何重にもして その左腕に巻き付けた その下には 血が滲んだあの傷があるはずで その傷は きっと 彼女がこれからともに過ごすであろう 人には 見えないし 気づかないだろう 降りる駅は一緒で そこは多くの人が 目指していたらしいところだから 人並みに飲まれ あたしは彼女を 見失ってしまった 乗り換えた電車の中 競技場に向かうバスの中 あたしは 震えが何故か 止まらなくて あたしのしたことは 正しかったのか わからなくて 一瞬でも 見過ごそうかと考えた自分が とても 恥ずかしくて 練習が始まる前 少しだけ泣いた 頭では いろいろな人がいて いろいろなコトがあるのは 分かりきっているのに 目の当たりにすると ショックが大きくて 今でも どうしたらいいのかわからない あたしが声をかけたことで 彼女の世界は 少しでも 広がってくれたのだろうか あたしが声をかけたことで 彼女の世界に土足で踏み込んでしまって 彼女の世界を壊しはしなかったのだろうか あたしには 何が出来るのだろうか あたしには 何が出来たのだろうか 自問自答 するばかり |
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