学校に行った。 生徒の前では笑えた。 先生の前では笑えなかった。
3ヶ月間空席だった、私の席。 それでも確かにそれはしっかりと存在していて その証に、3ヶ月分のプリントが詰まっていた。
数学の宿題。 英語の小テスト。 国語の問題集の回答。 その他諸々の問題集のコピー。 そして、模試で使用したらしい冊子。
今日から皆はテストで、それを受けない私は 英語科職員室隣の教育相談室で、それらの仕分けをした。
各教科ごとにプリントを分けて 模試の冊子で、成績優秀者の一覧表を見ていたら 突然涙が零れ始めた。
みんな みんな 私が立ち止まっている間に こんなに沢山のことを学んだんだね。 私の知識は『高校2年生』で止まったままで 復習を全くしていない今は、それすらあやふやで。
「勉強の出来ない人間なんて猿以下だ」 今でも鮮明に覚えている、父の言葉。 とにかく勉学には厳しい人だから、他にも色んな事を言われた。 ごめんね、ごめんなさい、お父さん。 ヒトは、知恵以外に他の動物に勝るものを持っていないのに その知恵すらも習得出来ないような娘になっちゃったね。 期待に添えない娘でごめんなさい。
…ねぇ。 勉強、したいよ。出来るようになりたいよ。 やっぱり私は、『勉強をしない自分』に価値を見出せない。 勉強しなきゃ、成績を上げなきゃ、存在を否定されそうで怖い。 心では必死でそう思うのに、頭と身体はそれについてきてくれない。
どうして人並みのことも出来ないの? どうして私はこんな生活を送ってるの?
どうすればこの『病気』は治るの? 医者も薬も、入院したって結局助けてくれなかった。 じゃあ誰を・何を頼れば良いの? …いつになったら、『普通の子ども』に戻れるの?
放課後、学校でパニックを起こした。 あんなに感情を表に出したのは初めてだった。 家に帰ってきても、その不安感も涙も止まらなくて 気付いたら、サンダルをつっかけて家から逃げ出していた。
辿り着いた先は、私の母校の小学校。 何でそこに来たのかは分からない。 でも、ゆっくりと遊具をひとつひとつ回っていくうちに、 気分は晴れなくても涙だけは止まってくれた。
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