◎ 数ヶ月。 ◎

それが、祖父に残された時間。

癌になった祖父は、既に抗癌剤が投与出来ない程の容態だった。
元々、抗癌剤なんて投与する気は無かったけれど。
入院先の病院を、祖父はいたく気に入っていた。
でもそこは外科病棟だから、化学治療を受けなければ入院し続ける事は出来ない場所だった。
だから祖父は、化学治療をすることを望んだ。
しかしそれは叶えられなくなった。
その結果、祖父は転院し、病による痛みを和らげて安らかな最期を待つという、緩和療法という処置を受けることになった。

あと、数ヶ月。
己の死が間近に迫っていることを知りながら、
これからの一日一日を、祖父は何を考えながら過ごすのだろう。

私に出来るのは、家族の負担が少しでも減るように
昔のように、『元気な良い子』になる事だけ。
例え、それが演技であったとしても。
家族に心配をかけないように。皆が安心してくれるように。
せめて今の間だけでも、普通の高校生に戻っていられますように。
学校に行って。友達と笑って。受験に悩んで。
そんな普通の高校生活を送れますように。

大学に行けば、一人で悩める。
どうかどうか、何処かの大学に進めますように。

   − 2005年09月04日(日) −

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