◎ シロイタテモノ。 ◎

今日は友人宅へ遊びに行った。
その集合場所と解散場所として、二度、祖父が居た病院に行った。

此処で見た祖父で、私の記憶は止まっている。

亡くなったのは別の病院でだったのだけれど、
そこで見た、言葉も満足に話せなくなった祖父の姿は
頭では祖父だと理解しているのに、何かがついてこなかった。

私の心の中の祖父は、此処で止まっている。

孫のくせに葬式でも泣けなかった私を、貴方は薄情だと思いますか。
気丈に振舞ったせいか再び潰れた私を、貴方は不憫に思いますか。

買い替える前のケータイに最後に届いたメールは、
ずっとこっちの日記に書いていた『入院中に知り合った患者』からだった。
解約の為に両親と某販売店に向かっている車の中で受信。
結局、返信はしないままに解約して、アドレス帳から彼女の記録を消した。
これで私と彼女を繋ぐものは何も無くなったけれど、自分の卑怯さに腹が立つ。
最初に電話とメルアド訊かれた時点で、嫌なら嫌って言えば良かったのに。
その時にも散々後悔して、それをずっと引きずって、今まで来てしまった。

でも一つだけ、私は貴方に対して羨望と嫉妬を抱いてた。
それは貴方が、退院後にも入院していた病院に電話を掛けられている事。
眠れない夜に、ちゃんと助けを求めて他人に縋れる事。
どんなに苦しくても、どんなに辛くても。
否、追い詰められれば追い詰められる程。
私は足掻く力すら失って、只、空虚を見上げている。

元より電話が苦手な私は、どうやったら助けを求められるだろう。
あの場所に戻りたくて、でも電話すら掛けられなくて、どうすれば良いんだろう。
この前やっと取り戻した涙は、それでも一筋だけしか流れなかった。

   − 2005年10月16日(日) −

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