これが貴方に書く、最初で最後の手紙になれば良いと思います。
お元気ですか。無理は妥協しても、無茶していたら怒りますよ。 そちらの気候はどうでしょうか。暖かいのかな、寒いのかな。 こちらは寒さも厳しくなり、澄み切った空気と空を見上げる毎日です。 貴方もこの、飲み込まれそうな程に透明な空を見ているのでしょうか。 澄んだ空も、優しい太陽も、その胸の中に抱き続けている貴方への 届く事はない思いを、届く事はない手紙に記す事にしました。 その手に触れることも。その声を聞くことすらも。 私には権利がないと言うのに、焦がれて仕方がないのです。
私が貴方に初めて会ったのは、紅葉の綺麗な秋でした。 秋の風情を一身に詰め込んで、貴方は私の前に現れました。 春のように暖かく、夏のように強く、秋のように物憂げで、冬のように孤独で。 ころころと変わり、時に押し隠される表情は、とても愛しく思えました。 嬉しそうな顔も、楽しそうな顔も、悲しそうな顔も、全部、全部。 怒った顔すら、そこから伝わる真剣さに心を奪われてしまった程です。
貴方は強くて。それ故に弱くて。様々な困難が壁として立ちはだかりましたね。 強くなった過程も。弱くなった過程も。その全てが“貴方”でした。 どれが欠けても今の貴方は無かったでしょう。 全てを受け入れ、それを自身とした貴方に、私は惹かれました。
…ごめんねさい、嘘を吐きました。 いいえ、正確には言葉が足りませんでした。
今の貴方――昔よりずっとずっと強くなった貴方を知る前から、 私はとっくに貴方のことを好きになっていたのです。
大好き。
愛してる。
どれも言い古された言葉ばかりで、 どうにも私の貴方へ対する感情を上手く表してはくれません。 それでも別に、どうせ伝わらない思いなのだから良いと思います。 只、私が貴方のことを、とてもとても大切に思っている。それだけで。 それだけで、私の自己満足は満たされます。 例え、貴方の目にもう二度と私の姿が映らなくても。
そろそろ夜も明けてしまいます。 また、新しい朝日が昇ります。 太陽が起きるよりも先に、私は寝なくてはなりません。 だからこの手紙は、ここで打ち切らせてもらいます。
…きっとこれは、貴方への最後の手紙にはなりませんね。 もっともっと書きたい事があったから。だから、続きを書きます。 何日後、何年後、何十年後になっても。 貴方を想う限り、私は次の手紙の内容を考えておこうと想います。
それでは、お休みなさい。 明日が貴方にとって良い一日となりますように。
from
――――――――――――――――― …なっがいけど…ネタです、これ(汗 最近全然部活用みたいな文を書いてなかったもんで… どーにも長文が書きたくて(苦笑
|