◎ 思い出す。 ◎

スポーツを頑張っている子どもを見ると、
つい数日前にニュースで流れていた野球少年を思い出す。

彼は中学2年生で身長185cm。
恵まれた体格で剛速球を投げることができる、
現在も、そして将来も活躍が期待される少年だったらしい。

でも、彼は突然死んだ。
監督から与えられた、無理なトレーニングによる熱中症で。

今、私の横にも、中学校2年生の野球少年がいる。
私の実の弟は、熱中症で亡くなった彼と同じように野球が大好きで、
同じようにピッチャーで、彼の毎日は野球を中心に回っている。

ニュースで、知らない誰かの死を聞いて、ここまで悔しいのは初めてだ。
自分と同じ年の人が殺されても、自殺しても、大丈夫だったのに。
弟と重なって、他人事だと思えなくなる。
もっともっと野球をしたかったであろう思いを思って、悔しくなる。

熱中症で死んだ彼本人も、その両親も、周りの人も
きっと、これからの彼の成長を楽しみにしていただろう。
彼は体格も才能も、他の人が望んでも得られないものを既に沢山持っていて
その上に練習に練習を重ねる程、野球が大好きで。
…好きなものを極めたい気持ち、分かるよ。
上達して、自分も嬉しいけど、周りも喜んでくれて。
それで、もっともっと上手くなろうって思って頑張る気持ち、分かるよ。

もっと野球やりたかったよね。
もっと沢山試合をやりたかったよね。
もっと沢山の仲間に会いたかったよね。
貴方はもっと楽しめたんだ。これからだったんだ。
それを潰されて…今、貴方はどんな気持ちでいるんだろう。

貴方のような人に、もっとマウンドに上がってほしかった。
勝利に笑って、敗北に泣いて。
もっと、もっと大きくなってほしかった。

貴方の両親には及ばないけれど、私も泣くよ。
貴方がいないこの世界を悔やんで泣くよ。
貴方を奪った要因全てを恨んで泣くよ。

願わくば、貴方が少しでも早くもう一度白球を握れますように。

   − 2006年01月09日(月) −

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