君に、言いたいことがあったんだ。
僕はこの場所のことは全て知覚出来るけれど、 この空間を越えてしまった場所のことは何も知らない。 だから、一番知りたいことが分からないんだ。
君は今、笑ってくれているだろうか。
君が僕を失うことは、僕が君を失うことと同じくらい辛いって いつだったか君がそう言ってくれたから、僕は余計に心配している。 僕の君を失った痛みは、いつまでも癒えてはくれそうにないから。 だから君も、僕のせいで笑えなくなってしまったんじゃないだろうか、って。 それだけが心配で、今、僕は澄み切った空を仰いでいる。
君の笑顔が僕の救いだった。 君が笑ってくれれば、何でもできる気がしてた。 この空に触れることだって。あの雲を掴むことだって。
…そんなわけ、ないのにね。 不可能なものの存在に、君を失ってから気付いた。
今の僕は無力な存在です。 何にも属することができず、何処にも帰ることができず。 虚ろな目に映るのは、薄汚れた僕の手のひらだけです。 この手も、君と繋いでいた頃は、あんなにも綺麗だったのに。
今の僕を笑って下さい。 今、君が笑って下さい。 明日もこの空を眺めて下さい。 僕の目が、いつ開かなくなっても良いように。
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