ふと気付くと。右手にカッターを握り締めていた。いつ握ったのか。何の為に握ったのか。思い出せなかった。戯れに左手首に当ててみる。このまま引いたらどうなる?ちょっとした間の後に笑いがこみ上げた。全てが馬鹿らしかった。私はカッターを手放して席を立った。机の上に残されたカッターが。『私を使って』と訴えていた。