籠から抜け出して
初めて自分の翼で羽ばたいた。
これからもう自分は『ジユウ』なんだと
すこんと蒼く突き抜けた空に誓った。
その時、鈍い痛みが走る。
気付くと空は遠かった。
地面に蹲っていた。
じゃりじゃりと耳障りな足音がして
生臭い息を吐く親父が自分を鷲掴んだ。
『もう一度、飛んでみろよ』
片翼を穿たれた自分を
口元を歪めたようなムカツク笑いで
高々と空へ放り投げた。
遠ざかった空が近付いてくる。
もう一度、飛べるような気がして
一生懸命羽ばたいた。
・・・だけど。
また空は遠ざかる。
景色が、堕ちて行く。
虚ろな目で、流れる景色に目を遣った。
ああ、自分は
あのムカツク親父に喰われる為に
籠から空へと飛び立ったのか。
去来する虚無にココロが死んで行く。
ただ、ボクは。
ジユウニソラヲトンデミタカッタダケダトイウノニ。
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