どんどん視力が落ちてゆく。世界がぼやけて行く。『ワタシ』が『其の他大勢』から隔離されて『ヒトリ』になる。見えなくなって行く。周りが、世界が、其の他大勢が。ただ一つアナタにだけはピントが合うようになっている。どんなに遠くにいても、離れていても、傍にいなくても。それはそれでいいのかもしれない。視力が落ちて、見えなくなって行く。この瞳には、アナタだけしか映らない。